新宮(読み)しんぐう

精選版 日本国語大辞典 「新宮」の意味・読み・例文・類語

しん‐ぐう【新宮】

[1] 〘名〙 本宮に対して、その分社の称。いまみや。わかみや。
皇太神宮儀式帳(804)「新宮造奉時行事并用物事。常限廿箇年、一度新宮遷奉」
[2] (新宮と呼ばれる熊野速玉(はやたま)大社があるところからいう) 和歌山県南東端の地名。熊野川の河口南岸にある。江戸時代、水野氏三万五千石の城下町熊野速玉大社の門前町および木材の集散地として発展。製紙・パルプ工場があり、熊野観光の基地として知られる。昭和八年(一九三三)市制。

にい‐みや にひ‥【新宮】

〘名〙 新しく造営した宮。
※書紀(720)允恭七年一二月(図書寮本訓)「冬十二月壬戌の朔に新室(ニヒミヤ)に讌(うたけ)す」

しんぐう【新宮】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「新宮」の意味・読み・例文・類語

しんぐう【新宮】[地名]

和歌山県南東端、熊野川河口にある市。熊野川を挟んで三重県と接する。熊野速玉はやたま大社(新宮権現)の門前町として発展。近世は水野氏の城下町。古くから木材の集散地として栄え、製材・製紙業が発達。平成17年(2005)熊野川町と合併。人口3.1万(2010)。

しん‐ぐう【新宮】

本宮から神霊を分けて建てた神社。今宮いまみや若宮わかみや

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改訂新版 世界大百科事典 「新宮」の意味・わかりやすい解説

新宮[市] (しんぐう)

和歌山県南東部の市。2005年10月旧新宮市と熊野川(くまのがわ)町が合体して成立した。人口3万1498(2010)。

新宮市西部の旧町。旧東牟婁(ひがしむろ)郡所属。人口2043(2000)。十津川と北山川が合流して熊野川となる西岸に位置し,東は熊野川を境に三重県,北は奈良県に接する。紀伊山地に属する山地が広く,河川沿いにわずかな低地があって小集落が点在する。奈良・三重県境に飛地がある。中心は熊野川と支流赤木川の合流点にある日足(ひたり)。熊野川はかつて本宮,十津川奥地から新宮に至る物資運搬の唯一の交通機関で,いかだ流しで有名。十津川沿いの道(現,国道168号線)は熊野参道であった。町域の大部分が山林で,温暖多雨地帯にあって良質の杉,ヒノキを産出する。宮井付近ではコンニャクイモを産する。玉置口地区を流れる北山川の峡谷は三重県から続く瀞(どろ)峡(瀞八丁)の下瀞に当たり,吉野熊野国立公園に属し,天然記念物・特別名勝に指定されている。
執筆者:

新宮市東部の旧市。1933年市制。人口3万3133(2000)。熊野川河口南岸に位置し,熊野灘に臨む。市街北部に熊野三山の一つである熊野速玉(はやたま)大社がまつられ,本宮に対して新宮と呼ばれた。市名はこれに由来する。熊野川流域の木材の集散地として発展し,明治末期までに大規模な貯木場,製材工場がつくられた。現在は木材生産が減少して,外材輸入に頼っており,製紙業,製材業は縮小傾向にある。1958年紀勢本線が全線開通し,名古屋,大阪の大都市圏と結ばれるとともに,瀞峡熊野本宮大社など熊野観光の基地としてにぎわう。市内には天然記念物の新宮藺沢(いのさわ)浮島植物群落や神武天皇東征にちなむ神倉神社の天磐盾(あめのいわたて),秦の始皇帝の命を受けて渡来したといわれる徐福の墓がある。
執筆者:

古くから熊野水軍の根拠地の一つとして知られる。熊野速玉大社の門前に営まれた先達や御師の宿坊を中心にしだいに町場化し,木材の集散地あるいは伊勢と熊野をつなぐ水陸交通の要所として発展した。熊野三山を現地で支配した別当家の一つも新宮におり,田辺の別当家としばしば勢力を競った。源平合戦に東海で挙兵した源行家も新宮十郎と称するように,平治の乱後,この地に逃れて成長したといわれる。戦国時代には堀内氏が台頭し,紀州に進攻した織田信長豊臣秀吉に忠誠を誓って熊野地方を支配したが,関ヶ原の戦で没落した。
執筆者: 1600年(慶長5)浅野幸長が紀州に入国すると,次男忠吉が2万8000石を与えられ新宮に入った。19年(元和5)徳川頼宣が入国,付家老水野氏が3万5000石を支配して丹鶴(たんかく)城に入り,城下町に準ずる政治・経済・文化の中心地として繁栄した。木材,木炭を江戸に送る廻船業や三輪崎の捕鯨も盛んであった。特に,これらを背景に発展した造船業は注目される。新宮鍛冶仲間はすでに1668年(寛文8)から株仲間の特権が与えられていたが,幕末には異国船の渡来,開港貿易という新しい時代に対応して〈一之丹鶴丸〉〈二之丹鶴丸〉という軍艦を造り,さらには他藩の船を修理し,大砲も生産するなど近代工業の芽生えがみられた。1868年(明治1)紀州藩新宮領は新宮藩となった。
執筆者:

新宮[町] (しんぐう)

福岡県北西部,糟屋(かすや)郡の町。玄界灘に浮かぶ相ノ島を含む。人口2万4679(2010)。町名は住吉神社(新宮)に由来する。内陸部には低山地や丘陵が広く分布し,玄界灘に臨む海岸部には砂丘と湊川の沖積低地がある。福岡市に隣接し,JR鹿児島本線,国道3号線,西鉄宮地岳線(2007年西鉄新宮~津屋崎間が廃止となり,西鉄新宮~貝塚間は西鉄貝塚線と改称)が町域内を並走するため,福岡市への通勤者が多く,丘陵地では宅地開発がめざましい。また国道沿いに工場進出が盛んで,工業が主産業となっている。農業は米作のほか野菜,果樹の栽培が行われ,相ノ島,新宮,湊では漁業も行われる。南部の立花山付近には,特別天然記念物のクスノキ原始林,大友氏の北九州支配の拠点となった立花城跡,梅岳寺などがある。
執筆者:

新宮(愛媛) (しんぐう)

新宮(兵庫) (しんぐう)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新宮」の意味・わかりやすい解説

新宮
しんぐう

兵庫県南西部,たつの市北部の旧町域。揖保川中流域に位置する。 1934年町制。 1951年東栗栖村,西栗栖村,香島村,越部村の4村と合体。 2005年龍野市,揖保川町,御津町と合体して,たつの市となった。中心集落の新宮は交通の要地で,南北朝時代に赤松氏の城が築かれたところ。南部は『十六夜日記ゆかりの越部郷。播州そうめんの本場で,食品加工業が行なわれる。国の重要文化財である天満神社本殿のほか,吉島古墳新宮宮内遺跡などの国指定史跡がある。揖保川のアユと觜崎の屏風岩 (国指定天然記念物) は有名。一部は西播丘陵県立自然公園に属する。

新宮
しんぐう

愛媛県東端,高知・徳島両県の県境にある,銅山川流域の地区。旧村名。法皇山脈で瀬戸内海と隔てられ,四国山地の北部を占める。 1954年上山村と新立村が合体して新宮村が発足。 2004年4月,川之江市,伊予三島市,土居町と合併し四国中央市となる。林業が主で,茶,タバコの栽培が行なわれる。馬立には川之江と本山を結ぶ旧土佐街道の本陣跡がある。多目的の新宮ダムは,四国中央市の工業用水,農業用水および発電用水を供給。国道 319号線が通り,高知自動車道のインターチェンジがある。

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普及版 字通 「新宮」の読み・字形・画数・意味

【新宮】しんきゆう

新殿。

字通「新」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の新宮の言及

【熊野杉】より

…和歌山県熊野川河口の新宮を輸送基地とする杉材の称であるが,主産地は上流の北山郷(現,奈良県吉野郡上北山村,下北山村)である。杉,ヒノキ天然林の蓄積豊かな北山地方の林業開発は,同地方が江戸幕府領となった近世初期に始まるが,その当時から幕府は北山郷14ヵ村に〈木年貢〉制を敷き,本年貢代りに収納する杉,ヒノキ材(長さ3間半の1尺2寸角木)のほか,材木前渡金に当たる〈拝借銀〉を融資し,併せて年800本を超える良材を上納させた。…

【熊野大社】より

…和歌山県熊野地方にある本宮,新宮,那智の3ヵ所の神社の総称。本宮(熊野坐(くまのにます)神社)は現在熊野本宮大社と称し,東牟婁(ひがしむろ)郡本宮町に,新宮(熊野早玉神社)は現在熊野速玉大社と称し,新宮市に,那智は現在熊野那智大社と称し,東牟婁郡那智勝浦町に鎮座する。…

【和歌山[県]】より


[沿革]
 県域はかつての紀伊国の大部分にあたる。江戸時代は伊勢・大和両国の一部とともに三家の一つ紀州藩(和歌山藩)の支配下にあり,田辺,新宮の支城に安藤・水野両家老が配されていたほか,伊都・那賀両郡には高野山領があった。1868年(明治1)田辺・新宮両藩が立藩し,高野山領は69年堺県,70年五条県の管轄下に置かれた。…

※「新宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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