馳駆(読み)チク

デジタル大辞泉 「馳駆」の意味・読み・例文・類語

ち‐く【×馳駆】

[名](スル)
馬を走らせること。「草原馳駆する」
走りまわること。また、あれこれと力を尽くすこと。奔走
東西に―すること、ここに十五年」〈鉄幹東西南北
競争すること。
「たとい愚鈍の人と―するとも」〈中村訳・西国立志編
[類語]走る駆けるせる疾走力走快走疾駆驀進ばくしん駆け足早足ダッシュ走行運行通行交通

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精選版 日本国語大辞典 「馳駆」の意味・読み・例文・類語

ち‐く【馳駆】

〘名〙
① 馬を駆って走ること。馳驟(ちしゅう)。〔布令必用新撰字引(1869)〕
※福翁百話(1897)〈福沢諭吉〉四六「戦場に馳駆(チク)したるが如き」 〔孟子‐滕文公下〕
② 走りまわること。また、走りまわらせること。いろいろと力をつくすこと。奔走。
※新野問答(1725頃)「使部〈略〉和訓につかはれべと申し候、彼是雑々之事に馳駆致し候者に候」
※東西南北(1896)〈与謝野鉄幹自序小生、八才にして郷里西京を出で、東西に馳駆すること、茲に十五年」 〔墨子‐尚同中〕
③ 奔放にふるまうこと。自分勝手にふるまうこと。〔詩経‐大雅・板〕
④ 競争すること。かけっこをすること。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四「たとひ愚鈍の人と馳駆するとも、また必ずこれに後るることなり」
⑤ 駆使すること。また、思うままに扱うこと。
西行(1942)〈小林秀雄〉「即興は彼の技法の命であって、放胆に自在に、平凡な言葉も陳腐な語法も平気で馳駆した」

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普及版 字通 「馳駆」の読み・字形・画数・意味

【馳駆】ちく

走りまわる。ほしいままにする。〔詩、大雅、板〕天の渝(よろこ)び(愉)を(つつし)み 敢て馳驅すること無(なか)れ

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