食違(読み)くいちがい

精選版 日本国語大辞典 「食違」の意味・読み・例文・類語

くい‐ちがい くひちがひ【食違】

〘名〙
一致が期待される事柄がうまくあわないこと。物事がずれるようにして行なわれること。くいちがうこと。
南方録(17C後)台子「これ小台子のかねにて、大台子とは喰ちがひ多し」
土手や塀などがひとつづきでなく互い違いになるようにつくってあること。また、そのもの。
※歌舞伎・謎帯一寸徳兵衛(1811)大切「この外・板塀の喰(ク)ひ違(チガ)ひ、中裏、子供屋の体(てい)
塵芥集(1536)三六条「くひちかいの事、どくをのみ、くいしぬるうへは、其ていしゅの越度たるべし」

くい‐ちが・う くひちがふ【食違】

[1] 〘自ワ五(ハ四)〙
① 交錯する。互い違いになる。
太平記(14C後)二三上下の歯くひ違(チカフ)て、口脇耳の根まで広く割(さ)け」
② 一致が期待される事柄がうまくそのようにならない。齟齬(そご)する。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)爰盎鼂錯第一九「進には鼓、退には金を打をくいちかふて、進に金を打つ、退に鼓を打つするは習わせぬいわれぞ」
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒くいちがえる(食違)

くい‐ちが・える くひちがへる【食違】

〘他ア下一(ハ下一)〙 くひちが・ふ 〘他ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① あやまってよくないものなどを食べる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② たがいに食いつきあう。
説経節・説経しんとく丸(1648)上「ときわへはもどるまじと、ふうふはしおくいちがへ、みおなげければ」
③ 交錯させる。〔黒本本節用集(室町中)〕

くい‐ちがえ くひちがへ【食違】

〘名〙 まちがってよくないものを食べること。また、それによってからだの害になること。くいちがい。〔文明本節用集(室町中)〕
御湯殿上日記‐大永七年(1527)八月一七日「くさひらくいちかへにて、にわかにむしおこりて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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