雪下(読み)ゆきおろし

精選版 日本国語大辞典 「雪下」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐おろし【雪下】

〘名〙
① 雪を交えて、山から激しく吹きおろす風。雪を吹き下ろす風。《季・冬》
※俳諧・六百番誹諧発句合(1677)一二一番「ちるはなやおもへば此鐘雪おろし〈正成〉」
② 屋根に降り積もった雪をくずし落として取り除くこと。《季・冬》
※普羅句集(1930)〈前田普羅〉「雪卸し能登見ゆるまで上りけり」
菅笠(すげがさ)の一種。菅の皮をさらして編んだ白色の深く大きな笠。ふちに丸みをもたせてある。
真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉八二「武士は、〈略〉傍に振り分け荷を置き、菅の雪下しの三度笠を深く冠り」
④ 歌舞伎の下座音楽の一つ。雪降りや雪崩(なだれ)の場面に用いられるもの。先端に綿や布を巻いた撥(ばち)で、大太鼓を軽く続けて打つ。
※歌舞伎・鼠小紋東君新形(鼠小僧)(1857)五幕「幸蔵これを左右へ払ひ退ける。雪おろしになり八人相手に立廻る」

ゆき‐の‐した【雪下】

〘名〙
ユキノシタ科の半常緑多年草。本州、四国、九州の湿った地上や岩上に生え、庭にもよく植えられる。高さ一五~四〇センチメートル。全体に赤褐色の細毛を密生する。赤紫色の糸状の匍匐枝が地表をはう。葉は長柄をもち腎臓形で掌状に浅く裂け縁は歯牙(しが)状、表面に白斑があり裏面は赤い。夏、白い五弁の不整斉花が横向きに咲く。葉は民間薬としてはれもの・やけど・しもやけ・百日咳などに用いる。園芸品種も多い。漢名、虎耳草。俗に鴨足草とも表記される。きじんそう。いわぶき。いわかずら。《季・夏》 〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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