鼠小僧(読み)ねずみこぞう

精選版 日本国語大辞典 「鼠小僧」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐こぞう【鼠小僧】

江戸末期の盗賊。本名次郎吉動作が敏捷(びんしょう)で、大名屋敷だけに忍び込んだことから、義賊との評判が高かった。天保三年(一八三二処刑小説講談歌舞伎などに多く取り上げられた。鼠小僧次郎吉

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デジタル大辞泉 「鼠小僧」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐こぞう【鼠小僧】

[1795~1832]江戸後期の盗賊。名は次郎吉。動作が敏捷なのでこの名で呼ばれた。大名屋敷だけに忍び入ったといい、獄門に処せられた。小説・講談・戯曲などに多くとりあげられる。

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朝日日本歴史人物事典 「鼠小僧」の解説

鼠小僧

没年:天保3.8.19(1832.9.13)
生年:寛政7(1795)
江戸後期の盗賊。通称次郎吉。江戸堺町の劇場中村座の木戸番の子で,鳶人足となったが,身を持ち崩して盗賊となった。文政6(1823)年以来不用心な武家屋敷の奥向ばかり狙って28カ所,32度におよんで盗みに入り,8年入れ墨,追放の処分を受けたが,その後も71カ所,90度にわたって武家屋敷を荒らし,天保3(1832)年遂に捕らえられて品川で獄門となった。身が軽いため鼠小僧の異名を取り,武家屋敷ばかり狙ったので義賊の名が高く,50年ほど前に処刑された稲葉小僧と混同されて伝説化,英雄視されるようになった。実録本『鼠小僧実記』をはじめ,白浪物を得意として,泥棒伯円の異名を取った2代松林伯円が『緑林五漢録―鼠小僧』として脚色したものが名高く,これをもとに河竹黙阿弥が「鼠小紋東君新形」に歌舞伎として仕組み,同時に同名の合巻(柳水亭種清編,2代歌川国貞画)も出版されている。

(宇田敏彦)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鼠小僧」の意味・わかりやすい解説

鼠小僧
ねずみこぞう
(1795―1832)

江戸後期の有名な怪盗で、名は次郎吉。鼠小僧の異名は、鼠のように身軽にどこにでも出没したからといわれる。江戸・中村座の木戸番定七の子として生まれ、建具屋に奉公に入り、のちに鳶人足(とびにんそく)となるが、博打(ばくち)を覚え、資金に窮して夜盗を働くようになった。1822年(文政5)ごろから約10年間に100回、およそ1万2000両の金を、奥向きの警戒が手薄である大名屋敷を専門に盗んだ。芝居や講談では義賊として描かれているが、実際に貧民に施した形跡はない。32年(天保3)4月、浜町の松平宮内少輔の屋敷へ入ったところを逮捕され、同年8月、江戸中引廻(ひきまわ)しのうえ獄門になった。両国(墨田区)の回向院に墓がある。

[稲垣史生]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鼠小僧」の解説

鼠小僧 ねずみこぞう

1797-1832 江戸時代後期の盗賊。
寛政9年生まれ。江戸中村座の木戸番の子。鳶(とび)職であったが,文政6年ごろから江戸の武家屋敷を専門に盗みをかさねる。天保(てんぽう)3年侵入先で捕らえられ,同年8月19日市中引き回しのうえ獄門となった。36歳。のち芝居,講談などで義賊としてあつかわれた。墓所は回向院(東京都墨田区両国)。名は次郎吉。
【格言など】天(あま)が下古き例(ためし)はしら浪の身にぞ鼠と現れにけり(辞世)

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「鼠小僧」の解説

鼠小僧
(通称)
ねずみこぞう

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
鼠小紋東君新形 など
初演
安政4.1(江戸・市村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鼠小僧」の意味・わかりやすい解説

鼠小僧
ねずみこぞう

鼠小紋東君新形」のページをご覧ください。

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