間引き(農業)(読み)まびき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「間引き(農業)」の意味・わかりやすい解説

間引き(農業)
まびき

作物を密に播種(はしゅ)した場合に、芽生えてから一部を引き抜いて除き、個体間あるいは個体群の株の間にその後の生育に十分な間隔を与えること。生育初期は病虫害や環境障害に弱いので、あらかじめ多めに播種して、しだいに不良個体を除いたり、また種子では判別困難な遺伝的な劣悪形質の個体や、異品種の混ざりを芽生えてから除去する目的もある。

 間引きは作物の種類によって1~3回行う。集約農業では手作業によってていねいに行うが、大規模農業ではトラクターにつけた間引き機(シンナー)を用いて、一定間隔で地面とともに幼植物を削り取る方法で間引きする。ダイコンや葉菜類などでは、間引いたものも食用にされる。「穎割(かいわ)れ大根」は本来はダイコンの第1回の間引きをしたものである。果樹では開花後に枝あるいは一花房につく幼果を間引き摘果し、果実の大きさや形をそろえ、品質の向上を図る。最近は化学薬品の摘果剤も開発され利用されている。

[星川清親]

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百科事典マイペディア 「間引き(農業)」の意味・わかりやすい解説

間引き(農業)【まびき】

余分の苗を取り除く作業。適正な栽植密度により養水分や日光を均等に与えて個体間の競争を少なくし,作物の各個体を均一に生育させるために行う。この際,遺伝的,後天的に不良な苗も同時に除去する。ふつう一度に行わず,生長に従って数回に分けて行う。→間伐

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