重日(読み)ジュウニチ

デジタル大辞泉 「重日」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐にち〔ヂユウ‐〕【重日】

暦注の一。の日との日。陽に陽が重なり、陰に陰が重なる日で、善事悪事も重なるといい、忌み事にはこの日を避ける。

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精選版 日本国語大辞典 「重日」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐にち ヂュウ‥【重日】

〘名〙 古暦で陽が重なるという巳の日と、陰が重なるという亥の日をいう。この日を凶事に用いるとそれが重なるとして避け、また悪い事を奏聞するのを避けた。逆に吉事には、それが重なるとしてその日に用いることを利としたが、ただ婚姻は重なることを忌むので避けた。じゅうじつ。
延喜式(927)一一「凡内外諸司所申庶務〈略〉御本命日〈中宮東宮亦同〉及朔日重日復日亦不凶事

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改訂新版 世界大百科事典 「重日」の意味・わかりやすい解説

重日 (じゅうにち)

古来,中国では3月3日,5月5日,7月7日,9月9日というように,月の数と日の数とを重ねた重日をたいせつな節供としてきた。この上巳(じようし),端午(たんご),七夕,重陽(ちようよう)に1月7日の人日(じんじつ)を加えて五節供と称することは,朝鮮,日本でも行われている。また五節供とは別に,暦注の一つとしての重日があり,これは中国の易学の影響を受けて成立した。八卦のうち,乾と坤は天と地にあたり,陰陽の本始,万物の祖宗とされ,巳は十二支のうち純の乾,亥は純の坤で,おのおの陰陽が重なることから,巳と亥を天地の本とし,巳の月にあたる4月巳の日,亥の月にあたる10月亥の日を重日と名付ける。この日は,おのおの重陽,重陰で,善悪ともに重畳するとして,種蒔き,祝言,薬の服用,きゅう,はりなどを忌む。各月の亥と巳の日を忌む場所もある。俗説では,この日は素戔嗚(すさのお)尊が,天の安河で天照大神とのうけい(誓約)に勝ち,田の畔を壊して溝を埋めるなど,乱暴狼藉を働いた悪日とされ,とくに種蒔きを嫌う日として,農民に禁忌が守られている。
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