暦注(読み)れきちゅう

精選版 日本国語大辞典 「暦注」の意味・読み・例文・類語

れき‐ちゅう【暦注】

〘名〙 古暦日付の下に付した注記のこと。注記は二段に分かれ、中段には十二直を、下段には日の吉凶に関する諸事項を記すのが慣例

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デジタル大辞泉 「暦注」の意味・読み・例文・類語

れき‐ちゅう【暦注】

暦本に記載される諸種の注記。天象七曜干支朔望潮汐二十四節気雑節二十八宿九星六曜をはじめ、中段の十二直、下段の吉凶の選日など。

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改訂新版 世界大百科事典 「暦注」の意味・わかりやすい解説

暦注 (れきちゅう)

暦に記載されている日時,方角の吉凶禍福に関する事項をいう。そのほとんどは暦注とともに大陸から伝来したもので歴史は古い。初め暦は上層階級の専有物で,暦注もその人たちだけの利用するものであったが,やがて頒暦の普及とともに一般庶民にも深く浸透していった。平安時代以来,暦注に関することは安倍家(土御門とも称する)と賀茂家の家職であり,両家に秘伝として継承されてきたが,両家の解釈にも相違があり土御門泰邦もみずからそれを指摘し,そのようなことは本来あるべきでないといっていた。現在の代表的な暦注である六曜大安仏滅など)はいまだかつて官許の暦に一度も載ったことがなく,その発祥の中国でも〈案ずるに日の順数に少しも深意なし〉〈その義取るに足らず〉と批判され,すぐに廃れてしまったものである。鎌倉時代末期のころから伝えられた六曜が日本で流行し始めたのは明治10年代からで由緒正しい暦注ではない。暦注は弊害の多い迷信として江戸時代以来多くの識者に批判されてきた。また古くは大同2年(807)に平城天皇によって禁止され,明治の太陽暦改暦の詔書でも〈人智の開達を妨げる〉ものとしていっさい厳禁された。しかし,戦後になって出版の自由は暦注の自由となり再び盛大に行われるようになった。暦注の日取りについては節切り,月切り,不断の三つの方法がある。節切りとは節月を用いることで,例えば江戸時代最高の凶日とされた黒日は,正月は戌(いぬ)の日,2月は辰(たつ)の日というように月によって異なる十二支の日が当てられるが,この場合の正月とは正月節立春から2月節啓蟄(けいちつ)の前日までのことで暦月ではない。暦注の日取りはこの節切りが主流で大部分はこれに属する。大安は正月は5日から6日目ごと,仏滅はいつもその前日というようにふつうの暦月で決まるのが月切りである。また節にも月名にも関係なく,天恩日のように甲子の日より5日間というような決め方を不断という。
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百科事典マイペディア 「暦注」の意味・わかりやすい解説

暦注【れきちゅう】

暦本に記入される事項。一般に普及したのは伊勢暦など以後。天象・七曜・干支・朔望・潮汐・二十四節気などのほか,日の吉凶,二十八宿九星六曜,雑節などを記す。
→関連項目三隣亡

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