遠遠(読み)とおどおしい

精選版 日本国語大辞典 「遠遠」の意味・読み・例文・類語

とおどお‐し・い とほどほ‥【遠遠】

〘形口〙 とほどほし 〘形シク〙
① いかにも遠い。いかにも遠方である。
古事記(712)上・歌謡「八島国 妻枕(ま)きかねて 登富登富斯(トホトホシ) 高志の国に」
② いかにも疎遠である。いかにもうとうとしい。久しく音信がない。久しく会わないでいる。
源氏(1001‐14頃)総角うたてとをとをしくのみもてなさせ給へば」
※歌舞伎・櫓太鼓鳴音吉原(1866)五幕「おや本宗さん、さっぱりお遠遠(トホドホ)しいね」
とおどおし‐さ
〘名〙

とお‐どお とほどほ【遠遠】

[1] 〘名〙
① (形動) 非常に遠いこと。きわめて遠方であること。また、そのさま。
※寸鉄録(1606)「つねにみなそばにゐぬものなれば、とをどをにあるものを」
② (形動) きわめて疎遠であること。久しく音信がないこと。また、そのさま。
婦女の鑑(1889)〈木村曙〉二二「亜米利加には復度々来玉ふ事もあらんなれど此地へ来ますは遠々(トホトホ)に候はん」
[2] 〘副〙 (「と」を伴って用いる) 相手から離れているさま。
日葡辞書(1603‐04)「Touodouoto(トヲドヲト) ヒカエタ」

おん‐のん ヲンヲン【遠遠】

〘形動タリ〙 (「おんおん」の連声(れんじょう)) =おんおん(遠遠)
※浄業和讚(995‐1335)中「過去遠遠(ヲンノン)のむかしより、今日今時にいたるまで」

えん‐えん ヱンヱン【遠遠】

〘形動タリ〙 はるかに遠いさま。
※本朝文粋(1060頃)八・避暑対水石詩序〈大江匡衡〉「亦嫌風穴山之遠遠。往返蹤慵者也」
曾我物語(南北朝頃)六「ゑんゑんたる大海の上に」 〔李商隠‐離席詩〕

おん‐おん ヲンヲン【遠遠】

〘形動タリ〙 遠く隔たっているさま。はるかであるさま。「過去遠々」と熟して用いる。えんえん。おんのん。
※康頼宝物集(1179頃)下「上下の差別有を見に付ても。過去遠遠の流転の事のみ観る也」 〔李商隠‐離席詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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