音信(読み)いんしん

精選版 日本国語大辞典 「音信」の意味・読み・例文・類語

いん‐しん【音信】

〘名〙 (「いん」は「音」の漢音)
① (━する) 便りをすること。便り。また、手紙訪問によってよしみを通じること。おとずれ。おんしん。
文華秀麗集(818)中・奉和春閨怨〈菅原清公〉「奈何征人大無意、一別十年音信賖」
※文明本節用集(室町中)「音信 インシン ヲトヅレ」 〔沈約‐襄陽白銅鞮歌〕
② (━する) 音信物(いんしんもの)。また、それを贈ること。
多聞院日記‐文祿二年(1593)二月一七日「甚六造作付、甚介音信として両種・一荷遣之」
浮世草子・俗つれづれ(1695)一「某(それがし)名酒を造る宿へ酒樽の音信(ヰンシン)、さりとては不才覚
[語誌]→「おんしん(音信)」の語誌

おん‐しん【音信】

〘名〙
① 便りをすること。また、その便り。おとずれ。音塵いんしん。〔小学読本字引(1877)〕
通常電報字数単位片仮名の和文電報では、仮名、数字、句読点括弧の記号一〇を一音信とし、以後五増加するたびに一音信を加える。
[語誌](1)常用漢字表では「音」のインの語例に「音信不通」をあげ、備考に「オンシンフツウとも」としている。「おんしん」は呉音、「いんしん」は漢音読み。明治期になるまでは「いんしん」。
(2)「おんしん」の語形は明治一〇年(一八七七)までには出現したが、同二〇年ころまでは「いんしん」が優勢。その後両形共存するが、戦後は「おんしん」の方が優勢である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「音信」の意味・読み・例文・類語

いん‐しん【音信】

便り。通信。おんしん。
音信物いんしんもの」の略。
「―に、たこ辛螺にし蛤蜊はまぐりと三いろを持たせやりたり」〈咄・醒睡笑・一〉
[類語]連絡通知伝達告知一報消息通信コンタクト案内知らせ通告通達通牒インフォメーション

おん‐しん【音信】

手紙などによる連絡。便り。いんしん。「音信不通」
[類語]便り音沙汰沙汰返信返書返事往信来信

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「音信」の読み・字形・画数・意味

【音信】おんしん

たより。

字通「音」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の音信の言及

【手紙】より

…手には,手習い(習字)のように,筆の跡,筆跡の意味もあり,また手みずからの意味を合わせて,手簡(しゆかん),手書(しゆしよ),あるいは真実吐露の意味,まこと,しるしをも示して,書信といい,ことさら私的内容を強調して私信ともいう。いずれも音信(おとずれ),たよりを意味し,故事より雅言として,鯉素(りそ),雁札(がんさつ)ともいう。また材料の帛(きれ)により尺素というが,尺は紙の大きさを示すことから,短い文,手紙を意味する。…

※「音信」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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