辛酉教獄(読み)しんゆうきょうごく

百科事典マイペディア 「辛酉教獄」の意味・わかりやすい解説

辛酉教獄【しんゆうきょうごく】

李朝末期の1801年(辛酉),朝鮮で起こったキリスト教(西教)弾圧事件。1784年李承薫(りしょうくん)が朝鮮最初のキリスト教徒となって以来,北京天主堂より派遣された中国人伝道者周文謨(しゅうぶんも)〔1752-1801〕などの活動により,当時の進歩的学徒(時派)約4000人がキリスト教の学習に参加していた。正祖はキリスト教に対して平和的であったが,その子純祖が即位するに及び,保守派(辟派)が台頭し,キリスト教は邪教とされ,西教派は約140人が惨殺され,周文謨も処刑された。

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世界大百科事典 第2版 「辛酉教獄」の意味・わかりやすい解説

しんゆうきょうごく【辛酉教獄】

朝鮮,李朝末期の1801年(純祖1年,干支は辛酉)に起きた天主教徒弾圧事件。正祖の父思悼世子の死(1762)をめぐって起きた時派と辟派の党争が宗教弾圧に発展したもの。正祖(在位1776‐1800)の時代には党争緩和のために各派を平等に登用する蕩平(とうへい)策が採られた。しかし純祖(在位1800‐34)が幼少で即位すると,大王大金氏(英祖の妃,正祖の継祖母)の垂簾すいれん)政治が行われ,王妃の父で老論辟派のリーダー金祖淳が実権を握って時派(正祖にくみしたもの)を抑圧した。

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