荊浩(読み)けいこう

精選版 日本国語大辞典 「荊浩」の意味・読み・例文・類語

けい‐こう ‥カウ【荊浩】

中国、唐末五代の画家。字(あざな)浩然洪谷子と号す。乱世を避け、太行山の洪谷に隠遁(いんとん)水墨山水樹石を得意とし、弟子関同とともに「荊関」の名で並び称される。画論「山水訣(筆法記)」が伝わる。生没年不詳。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「荊浩」の意味・読み・例文・類語

けい‐こう〔‐カウ〕【荊浩】

中国、唐末五代の画家。あざなは浩然。号、洪谷子こうこくし。水墨山水画に独自の境地を開き、北画中興の祖といわれた。著と伝える「筆法記」がある。生没年未詳。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「荊浩」の意味・わかりやすい解説

荊浩【けいこう】

中国,唐末五代の画家。生没年不詳。河南の人。字は浩然。乱世を避けて官途につかず,太行山の洪谷に隠棲(いんせい)して洪谷子と号した。博学文章にもすぐれ,絵では水墨の山水画を得意とした。彼の《山水訣》は後補されて《筆法記》となって残っている。
→関連項目王鐸関仝倪【さん】

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「荊浩」の意味・わかりやすい解説

荊浩
けいこう

生没年不詳。中国、唐末から五代の初めに活躍した画家で、この期の代表的山水画家。河南省沁水(ひょうすい)(あるいは河内)の人。字(あざな)は浩然(こうねん)。乱世を避けて太行山の洪谷(こうこく)に隠れ住み、洪谷子と号した。学問があり、その画論に『筆法記』がある。仏画も描いたらしいが、山水において名がある。しかしその真跡は現存せず、その画の実体は明らかではない。荊浩画と伝える作品では『雪景山水図』(カンザス市美術館)、『匡廬図(きょうろず)』(台北・国立故宮博物院)がよく知られている。

[星山晋也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荊浩」の意味・わかりやすい解説

荊浩
けいこう
Jing Hao

中国,唐末,五代の画家。沁水 (山西省) または河内 (河南省) の人。字は浩然。学問,文章ともにすぐれた。五代の戦乱を避けて太行山の洪谷に住み,洪谷子と号し山水,樹石を描いて悠々自適の生活をおくった。画風は筆 (線) を主体とする唐朝山水画風の伝統に基づきながら,墨 (水墨) との融合を試み,新意を加えたものと想像され,宋初の山水画に大きな影響を及ぼし,華北山水画の成立に寄与した。著書に画法を論じた『筆法記』,遺品大作『雪景山水図』 (カンザスシティー美術館) があるが,疑念ももたれている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android