草壁郷(読み)くさかべごう

日本歴史地名大系 「草壁郷」の解説

草壁郷
くさかべごう

和名抄」上道郡日下くさかべ郷の郷名を継ぐものか。小廻こめぐり山東麓のくさを遺称地とし、一帯に推定される。建仁三年(一二〇三)の備前国麦惣散用帳(東大史料編纂所蔵)に「草部郷司納」五石七斗四升七合、津納五石、郷未進七斗四升七合とあり、醍醐法橋が収納責任者であった。延慶三年(一三一〇)一二月一二日の伏見上皇院宣(東大寺文書)で、久富・三楽の替えとして奈良東大寺に与えられた。嘉暦三年(一三二八)の五辻親王家領注文(海蔵院文書)では南方北方が記され、翌年九月二〇日に北条守時が安堵(「北条守時書状案」同文書)、また元弘三年(一三三三)八月四日の後醍醐天皇綸旨(同文書)で五辻宮家領として安堵されている。

草壁郷
くさかべごう

「和名抄」高山寺本は「久佐加へ」、東急本は「久佐加倍」の訓を付す。現小田郡矢掛やかげ町の横谷よこだに里山田さとやまだなか南山田みなみやまだの地域に比定される。弥生後期の集団墓(中)小迫大塚こざこおおつか古墳(南山田)がある。後者は一辺約二七メートルの方墳で、南に開口する全長一〇・五メートルの横穴式石室をもつ。古墳時代後期の方墳としては大型で石室も丁寧に造られていて、造営主体である首長の勢力を示している。

草壁郷
くさかべごう

「和名抄」諸本とも文字異同はなく、伊勢本・東急本・元和古活字本の訓「久左加倍」から「くさかべ」と読む。

草壁郷
くさかべごう

「和名抄」諸本とも文字の異同はなく、訓を欠く。「太宰管内志」は「久佐加倍と訓ムべし、(中略)名義は日下部姓の居たりし由などにや」と記し、「此郷も今は伝はらず」とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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