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腹腔鏡(読み)フククウキョウ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「腹腔鏡」の意味・わかりやすい解説

腹腔鏡
ふくくうきょう

皮膚を小切開して、へそ周囲から腹腔内へ小型の内視鏡カメラを挿入し、観察するために用いる内視鏡の一種。ラパロスコープともよばれ、臨床現場ではラパロと略称される。あらかじめ決まった角度に設定された硬性鏡と、先端が自由に回転してさまざまな観察が容易な電子スコープがある。従来は診断のための検査目的で、肝炎肝硬変肝臓癌(がん)や胆嚢(たんのう)癌、腹膜疾患などの生検、婦人科の卵巣子宮など内性器疾患の検査などに用いられてきた。しかし1987年にフランスの産婦人科医ムレPhilippe Mouret(1938―2008)が腹腔鏡下で胆嚢摘出術を行って以来、欧米で腹腔鏡下手術が急速に普及するようになった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腹腔鏡」の意味・わかりやすい解説

腹腔鏡
ふくくうきょう
laparoscope

内視鏡の一種。直径7~8cm,長さ 30cm前後の硬性鏡で,肝臓,胆嚢,胃の前壁,小腸および大腸の一部,脾臓などの表面を観察するために用いる。腹腔鏡は皮膚を小切開して挿入するが,あらかじめ腹腔内に 2000~3000mlの空気を注入して,腹壁腹腔内臓器との間にすきまが十分できるようにしておく。腹腔鏡で観察しながら臓器の一部を採取する方法 (生検) は,肝臓癌や胆嚢癌の診断とか,肝炎や肝硬変の程度を知るうえに必須のものである。

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百科事典マイペディア 「腹腔鏡」の意味・わかりやすい解説

腹腔鏡【ふっこうきょう】

腹腔および腹腔内臓器を調べる内視鏡の一つ。腹壁に小切開を加えて挿入し,空気を送って腹腔内を見やすくし,胆嚢,肝臓,腹膜,消化管外側などを検査する。検体採取も可能。
→関連項目マイクロ波凝固治療

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世界大百科事典(旧版)内の腹腔鏡の言及

【内視鏡】より

…尿道鏡urethroscope,膀胱鏡cystoscopeは診断のほかに,後述の造影や手術のためにも広く利用されている。腹腔鏡laparoscopeは,日本では主として肝臓疾患の診断のために行われているが,ヨーロッパでは試験開腹の代り,あるいは不妊症の診断にも利用されている。胆道鏡choledochoscopeは,胆石の診断と,手術で取りきれなかった胆石の除去に用いられている。…

【婦人科内視鏡】より

…婦人科領域で用いられる内視鏡をいい,またこれを用いた検査をさすこともある。子宮鏡(頸管鏡や卵管鏡も含む),腹腔鏡,胎児鏡,膀胱鏡などが含まれ,疾病の検査だけでなく治療にも応用され,さらに近年では,これら内視鏡による直視下での手術も試みられ,一部実用化されている。婦人科内視鏡では,映像伝達系にレンズを用いた硬性鏡が一般に用いられ,照明光は外部光源(ハロゲン灯,水銀灯,キセノンランプ)からグラスファイバーによって伝達され,内視鏡先端から局所を照明する。…

※「腹腔鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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