食の医学館 「胆嚢炎・胆管炎」の解説
たんのうえんたんかんえん【胆嚢炎・胆管炎】
《どんな病気か?》
〈多くは、胆石に合併して胆嚢や胆管に炎症が起こる〉
胆嚢炎(たんのうえん)・胆管炎(たんかんえん)は、胆嚢や胆管に炎症が起こるもので、急性胆嚢炎の約9割が、胆石症(たんせきしょう)に合併して発病します。
健康なら胆嚢や胆管は無菌状態で、十二指腸(じゅうにしちょう)から細菌が侵入しても、胆汁(たんじゅう)で洗い流せますが、胆石があると、それが胆管などをふさいで胆汁が流れでなくなり、大腸菌などの細菌が感染して炎症の原因となるのです。
胆嚢炎には急性のものと慢性のものとがあります。
急性の場合は食後3~4時間で急に吐(は)き気(け)やはげしい腹痛、高熱が現れます。尿の色が濃くなり、黄疸(おうだん)がでることもあります。
慢性胆嚢炎では、無症状であったり、腹痛があったりとさまざまですが、急性胆嚢炎にくらべて症状は軽く、断続的であるのが特徴です。
また急性胆管炎では、悪寒(おかん)・発熱、右上腹部痛、黄疸がみられます。
《関連する食品》
〈免疫力を強化するためにカロテン、レクチンをとる〉
○栄養成分としての働きから
胆嚢炎・胆管炎を予防するには、まず胆石を予防するのが第一です(「胆石症」参照)。胆石がすでにある人は、細菌感染を防ぎ、炎症を起こさないように注意します。
カロテンには免疫機能を強化し、細菌感染に対する抵抗力をつける働きがあります。カロテンはコマツナ、ニンジン、シュンギク、ツルムラサキなどの緑黄色野菜に含まれています。油脂といっしょにとると吸収率がアップするので、ドレッシングをかけたり、油で炒(いた)めたりするといいでしょう。
豆類やジャガイモに含まれるたんぱく質のレクチンにも、リンパ球を活性化させて免疫力を強める働きがあります。
また、牛乳・乳製品に含まれるラクトフェリンは、体内で鉄と結びつき、抗菌作用を発揮します。鉄は微生物の増殖(ぞうしょく)に必要な成分であり、ラクトフェリンが鉄と結びついてしまうと、原因菌は鉄を利用することができなくなるからです。
とりすぎを避けたほうがよいのは、アルコール、コーヒーなどカフェインを含むもの、炭酸飲料、香辛料などです。また、便秘を防ぐこともたいせつです。