細金細工(読み)サイキンザイク(英語表記)filigree

翻訳|filigree

デジタル大辞泉 「細金細工」の意味・読み・例文・類語

さいきん‐ざいく【細金細工】

金銀細線を用いた精巧な飾り細工。古代エジプトギリシャローマなどで発達インド中央アジア中国朝鮮に伝わり、日本古墳からも耳飾りが出土する。細線細工。粒線細工。

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精選版 日本国語大辞典 「細金細工」の意味・読み・例文・類語

さいきん‐ざいく【細金細工】

〘名〙 金銀や銅の可伸性を利用し、その細線の微粒宝飾とした細工。古く、エジプト、ギリシアイタリアや中国の漢代などに行なわれた。日本の古墳の副葬品にも、飾環付耳飾りが発見されることがある。ほそがねざいく。細線細工。フィリグリー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「細金細工」の意味・わかりやすい解説

細金細工
ほそきんざいく
filigree

金や銀の細線を紐よりして細工すること。装身具に多くみられる。金や銀は軟らかで線条にできるため,それをよじって平らにした細線で文様をつくり,それを交互に鑞付けで溶着し,造形して細工物に仕立てる。偽粒金ともいう。古くエジプト第 12王朝時代に出現し,ギリシア,エトルリアで発達し,中国では漢代に優品がみられる。また朝鮮,楽浪出土の帯金具や新羅古墳出土の耳飾りは精緻な作品。その影響で,日本では古墳時代に耳飾りが渡来し,出土している。平安時代以降,太刀の拵 (こしらえ。太刀の柄,鞘,鐔の総称) に兵庫鎖という金銀の細線を用いた細工がみられる。

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百科事典マイペディア 「細金細工」の意味・わかりやすい解説

細金細工【さいきんざいく】

金銀を細い糸状あるいは細粒にし,地板に鑞付(ろうづけ)した繊細な金属装飾品。さらにガラス玉,宝石を付けたものもある。源流はエジプト第12王朝にあり,ギリシア,エトルリアの作品は有名。この技法はインド,中国,朝鮮を経て日本に伝わり,古墳出土の耳飾などにみられる。その後長くとだえたが,江戸時代に中国から別に技法を伝え,九州の平戸では平戸細工として盛行した。

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世界大百科事典(旧版)内の細金細工の言及

【細線細工】より

…金銀の延びる性質を利用して細い糸状や粒子とし,地板に鑞付(ろうづけ)して装飾的効果を高める貴金属工芸の技術。細金細工(さいきんざいく∥ほそがねざいく)ともいう。イタリア語filigranaに由来する英語のfiligreeの訳。…

【細線細工】より

…金銀の延びる性質を利用して細い糸状や粒子とし,地板に鑞付(ろうづけ)して装飾的効果を高める貴金属工芸の技術。細金細工(さいきんざいく∥ほそがねざいく)ともいう。イタリア語filigranaに由来する英語のfiligreeの訳。…

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