20世紀日本人名事典 「福本 和夫」の解説
福本 和夫
フクモト カズオ
昭和期の社会思想家 元・日本共産党中央委員政治部長。
- 生年
- 明治27(1894)年7月4日
- 没年
- 昭和58(1983)年11月16日
- 出生地
- 鳥取県久米郡下北条村(現・東伯郡北条町)
- 別名
- 筆名=北条 一雄(ホウジョウ カズオ)
- 学歴〔年〕
- 東京帝大法学部政治学科〔大正9年〕卒
- 経歴
- 大正10年旧制松江高校教授。11年文部省在外研究員として欧米に留学し、マルクス主義を研究。13年帰国し、14年山口高商教授。このころ北条一雄の筆名で左翼論壇に登場。15年4月山口高商を辞職して上京。同年12月日本共産党の再建大会に参加して政治部長となり、党の主導的立場にあった山川均の山川イズムを批判。前衛分子の結合こそ急務だとする“福本イズム”は大正末の左翼陣営の指導的理論となった。しかし、昭和2年コミンテルンに批判されて失脚。翌3年3.15事件のあと検挙され、懲役10年の判決を受け、17年まで獄中生活。戦後は25年共産党に復党、参院選に立候補するが落選。26年GHQにより公職追放。その後党中央と対決して、33年除名処分を受けた。以後著作活動を続ける一方、フクロウの研究でも有名になる。著書に「福本和夫初期著作集」(全4巻 こぶし書房)の他、「日本捕鯨史論」「日本工業先覚者史話」「北斎の芸術」「日本の山林大地主」「日本ルネッサンス史論」「フクロウ 和の探梟記」など。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報