田和山遺跡(読み)たわやまいせき

日本歴史地名大系 「田和山遺跡」の解説

田和山遺跡
たわやまいせき

[現在地名]松江市乃白町・乃木福富町・浜乃木

松江市の中心部から南へ約三キロの郊外にある弥生時代の三重環壕を伴う建物跡群。平成九年(一九九七)から同一二年にかけて松江市教育委員会によって発掘調査が行われた。乃木のぎ平野の東側にある田和山と称される独立丘陵の北端部(標高約四六メートル)に所在する。遺構の空間構成は、山頂部の建物群、丘陵斜面の環壕・土塁、環壕外側竪穴建物跡群の三エリアからなる。時期は大まかに弥生前期後葉から中期前葉と、弥生中期中葉から後葉の二段階にわかれ、後期の遺構・遺物は出土していない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「田和山遺跡」の解説

たわやまいせき【田和山遺跡】


島根県松江市乃白町・乃木福富町・浜乃木町にある集落跡。北西宍道(しんじ)湖を望む、田和山と呼ばれる独立丘陵上に立地する、弥生時代前期後半から中期後半の集落跡。1997年(平成9)~2000年(平成12)の病院建設にともなう発掘調査で、3重の環濠は丘陵頂部をめぐるが住居は環濠の外に分布するという、類例のない構造をもつ環濠集落であることが判明した。環濠の規模は最大で幅7m、深さ1.8mあり、内側の環濠で囲まれた範囲は2250m2、一部で土塁の痕跡も確認されている。3重の環濠で囲まれた山頂部では多数の柱穴が見つかり、祭祀のための掘立柱建物があったと推定されている。また、発見された竪穴(たてあな)住居11棟はすべて環濠の外にあった。遺物は土器類や石器類のほか、環濠内から3000点以上のつぶて石、石鏃(せきぞく)や石剣などの武器類が出土している。弥生時代の環濠集落は軍事的・防御的性格や拠点的性格をもつと考えられてきたが、田和山遺跡の環濠が守っているのは住居域でなく山頂部であることなど、これまで発見された環濠集落との相違点が注目されている。2001年(平成13)に国の史跡に指定された。現在は田和山史跡公園として整備・保存されている。JR山陰本線松江駅から市営バス「市立病院」下車徒歩約3分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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