普及版 字通 「猶(漢字)」の読み・字形・画数・意味
猶
常用漢字 12画
(旧字)
12画
(異体字)
13画
[字訓] はかりごと・なお
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 形声
声符は(しゆう)。に・(ゆう)の声がある。〔説文〕十上に「(さる)の屬なり」とし、「一に曰く、西(ろうせい)にて犬子を謂ひてと爲す」とあり、獣名とする。〔水経注、江水一〕に、猶(ゆうこ)は好んで巌樹に遊び「一百、或いは三百、順倒、に乘ずること飛ぶが(ごと)し」という。この字を猶予・夷猶のように用いるのは双声の連語。謀猶のときには多くを用い、金文の〔毛公鼎〕に「我がの小大の(はかりごと)」のようにいう。漢碑に「良」「」のように、をの義に用いる。は(繹酒(えきしゆ))に犬牲をそえた形で、神を祀り、神意に謀(はか)る意。また(ゆう)・(又)に通じ、さるの意に用いる。〔楚辞、九歌、山鬼〕「(さる)啾啾(しうしう)として、(さる)夜に鳴く」のは。の形が最も古くて、謀の意が本義。他の義には猶を用い、いま両字の用義を異にしているが、もと一字であった。
[訓義]
1. はかりごと、みち。
2. 犬の子。
3. さる、また・又に作る。
4. 誘と通じ、あざむく。
5. 由と通じ、なお~のごとし。
6. 已・以と通じ、はなはだ、すでに。
7. 似と通じ、にる、おなじ、ひとし。
8. 夷と通じ、ゆったり、ゆたか、ためらう。
9. (ゆう)と通じ、とが、あやまち。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ナホ・ゴトシ・ゴトク・ハカル・ハカリゴト・カクノゴトク・カクノゴトキ・ヨル・ミチ・イフ/夷 ウラオモフ 〔字鏡集〕 イツハル・ヨル・ナホ・ゴトシ・イマ・ミチ・ハカリゴト・サルノタグヒナリ・カクノゴトキ
[語系]
・由jiuは同声。以ji、似zi、用jiongは声近く、通用することがある。・hiuも、古く通用することがあったのであろう。
[熟語]
猶夷▶・猶疑▶・猶子▶・猶若▶・猶然▶・猶父▶・猶与▶・猶予▶
[下接語]
遠猶・王猶・嘉猶・機猶・猶・顕猶・弘猶・光猶・宏猶・皇猶・高猶・鴻猶・神猶・清猶・聖猶・先猶・壮猶・大猶・帝猶・謀猶・令猶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報