焼・自棄(読み)やけ

精選版 日本国語大辞典 「焼・自棄」の意味・読み・例文・類語

やけ【焼・自棄】

〘名〙 (動詞「やける(焼)」の連用形の名詞化)
① 焼けること。また、焼けてでもいるように赤くなること。また、火事。「朝やけ」「夕やけ」 〔全浙兵制考日本風土記(1592)〕
② 火災などで焼損した銭貨。表面の文字が焼けただれて不分明となったもの。撰銭(えりせん)の対象として排斥された。
歌舞伎傾城倭荘子(1784)四「その銀は受取って、郡山両替で改めまして、一挺もやけはござりませぬ」
③ (形動) (多く「自棄」をあてる) 物事が思いどおりにならないため、自分で自分の身を粗末に扱い、どうなってもかまわないという気持になること。なげやりな行動をとること。また、そのさまや、その言動。自暴自棄。やけくそ。→やけに
※評判記・色道大鏡(1678)一八「悲しい哉、是より心やけになりて、人口をも恐れず、貧窮をもいとはず」
④ (「やけ」は、一度火をかぶって役に立たないものの意から) 他の語に付けて用いて、それをののしる意を添える。
仮名草子・かなめいし(1663)下「その焼尼(ヤケあま)来世(らいせ)までもそひ給へ」
硫化鉱物に富む鉱床地上に露出していて、褐色の焼けたような外観をしている部分黄鉄鉱が酸化されて褐鉄鉱となっているものが多い。〔英和和英地学字彙(1914)〕
⑥ 塗膜が日光または高温のため黄変する現象

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