火事【かじ】
人間にとって有用なものが燃えてしまうという点からは火災と呼んでいる。消防庁では火災統計上,建物火災,林野火災,船舶火災,航空機火災,車両火災,その他の六つに分類しており,このうち出火件数では建物火災が半分以上を占める。総出火件数は例年6万件前後で,1998年には5万4987件,死者2077人,負傷者7256人。出火の原因は,放火によるものが最も多く,ついでたばこ。火事が冬季に多いのは湿度が低下し,強い季節風が吹くなどの気象的原因と関係している。またビルなどの耐火建築と木造家屋ではその性状は異なる。後者では一般に,屋内の燃焼が少し進んだとき,白煙が立ち上り,これが空気の不足で一時衰え,次いで黒煙を吐き出し,内部が燃え抜かれて対流がよくなると一気に火盛りに移る。微風下で出火から焼落ちまで13〜24分。火の温度は500〜1000℃。火の伝わる速さは風速に比例。火の粉は気流に乗って激しく流れる場合と,竜巻が起こって高くもちあげられる場合がある。→防火/山火事
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か‐じ クヮ‥【火事】
〘名〙 建物、
山林、船などが焼けること。《季・冬》
※
殿暦‐承徳元年(1097)二月二日「子剋許有
二火事
一。二条油小路為章朝臣家也」
※文明本節用集(室町中)「火事 クヮジ」
[
補注]
和文では古く「ひのこと」と記されているから、「殿暦」もあるいは訓読みしたかもしれない。
ひ‐ごと【火事】
〘名〙
① 火事(かじ)。火災。
※文明本節用集(室町中)「火㕝 ヒゴト」
※俳諧・独吟一日千句(1675)第四「富をついたときく松の声 咲花の火こと必手あやまち」
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デジタル大辞泉
「火事」の意味・読み・例文・類語
かじ【火事】[曲名]
《原題、〈イタリア〉Il fuoco》ハイドンの交響曲第59番イ長調の通称。1769年作曲。通称は火事を思わせる激しく劇的な楽想に由来する。
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かじ【火事】
火事とは,建造物,山林・原野,輸送用機器等が放火を含め意図せざる原因によって燃え,自力で拡大していく状態にあるものをいうが,人間にとって有用なものが被災するという点からは,火災と呼ぶ。《消防白書》(消防庁編)は,火災を燃焼対象物により,建物火災,林野火災,車両火災,船舶火災,航空機火災およびその他火災(空地・土手などの枯草,看板などの火災)に分類する。このうち近年の出火件数では建物火災が毎年60%以上を占めている。
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普及版 字通
「火事」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の火事の言及
【使番】より
…また二条,大坂,駿府,甲府などの要地にも目付として出張し,遠国役人の能否を監察した。そのほか江戸市中に火災のあるときは火勢を視察して報告し,目付とともに大名課役の消防夫(大名火消)を指揮し,また定火消の火事場における働きのいかんを監察し上申した。本来は武功第一の者の務める役柄であり,戦場の標識として四半五之字の指物を用いた。…
【初午】より
…初午だけでなく二の午,三の午までする所もあり,また2月ではなく,奄美大島のように4月初午をいう所や11月初午をする所もある。高知県には家に水をかけるなど火防の行事をする所が多いが,初午の早い年は火事が多いという火に関する俗信は全国的である。茨城・福島県などではこの日は茶を飲まない,ふろをわかさないなどというが,これは火を扱うのを避けようとする気持ちからであろう。…
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