溶・融(読み)とく

精選版 日本国語大辞典 「溶・融」の意味・読み・例文・類語

と・く【溶・融】

[1] 〘他カ五(四)〙 (「とく(解)」と同語源)
液体に他の液体や物質を入れてゆるめる。固形・粉末状のものに液体を加えて液状にする。溶解する。とかす。
太平記(14C後)三九「鎌倉殿御眼血をときたる如くに成て」
② 固形のものを熱などを加えて液状にする。融解する。とかす。とろかす。
古今(905‐914)春上・二「袖ひぢて結びし水の凍れるを春たつ今日の風やとくらん紀貫之〉」
③ 分離しているものを混合させて、均質の液状にする。
児童のお弁当百種(1931)〈小林完〉五「玉子の溶いたのをつけ、更にパン粉を押へつけ」
[2] 〘自カ下二〙 ⇒とける(溶)

と・ける【溶・融】

〘自カ下一〙 と・く 〘自カ下二〙 (「解ける」の意から)
① 液体に他の物質が混じって散乱し、平均した濃度になる。溶解する。液体状に変化する。
※能因集(1045頃)下「五月雨にとくるまがねをみがきつつてる日に見ゆるます鏡かな」
② 熱などが加わって、固体が液状になる。融解する。とろける。柔らかくなる。
※歌仙本貫之集(945頃)四「水なかにありこそしけれ春立て氷とくればおつるしら玉」
③ 比喩的に、まわりや背景にあるものによって、それと見分けがつかないようになる。
鉄路近く(1956)〈島尾敏雄〉「放水路川上川下も墨のやみにとけていて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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