沼島(読み)ヌシマ

デジタル大辞泉 「沼島」の意味・読み・例文・類語

ぬしま【沼島】

淡路島南方にある島。面積2.73平方キロメートルで、瀬戸内海国立公園一部日本神話にみえる磤馭慮おのころとされ、東岸矛先の形をした高さ30メートルの巨岩上立神岩かみたてがみいわがある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「沼島」の解説

沼島
ぬしま

古事記」「日本書紀」の神話では、イザナギ、イザナミ二神が天の浮橋に立ち、天の沼矛で海を掻回したとき、その先から落ちた潮が固まって淤能碁呂おのごろ(「古事記」、「日本書紀」は「馭慮嶋」と記す)となり、両神はこの島に降って国々を生んだという。本来は想像上の島であったが、「古事記」仁徳天皇段には難波の崎から眺めると、おのごろ島(自凝島)が見えるという歌があり、八世紀の頃には淡路島近辺にこの名の島が存したと思われる。その位置については、「釈日本紀」に「今見在淡路嶋西南角小島是也云。(中略)或説、今在淡路国東由良駅下」などとあり、「常磐草」はこれによって沼島説を提示した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沼島」の意味・わかりやすい解説

沼島
ぬしま

兵庫県淡路島の南方、紀伊水道に浮かぶ島。南あわじ市に属す。淡路島の南方4.6キロメートルにあり、面積2.73平方キロメートル。周囲約10キロメートル。結晶片岩からなり、奇岩と断崖(だんがい)が連続し、瀬戸内海国立公園の一部である。縄文後期からの土器片も出土し、古代の海人(あま)族が居住した地とされる。『古事記』の国生み神話にみえる淤能碁呂(おのごろ)島とされ、伊邪那岐(いざなぎ)信仰の厚い漁業専業の島である。淡路島洲本(すもと)港と土生(はぶ)港からの定期船便がある。人口590(2009)。

[吉田茂樹]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沼島」の意味・わかりやすい解説

沼島
ぬしま

兵庫県南部,淡路島の南方約 4kmの海上にある島。周囲約 10km。南あわじ市に属する。三方は結晶片岩の海食崖からなり,わずかに残された北西低地に約 300世帯が居住し漁業に従事。第2次世界大戦後は人口の流出が目立つ。記紀における国生み神話のおのころ島にあたるともいわれ,瀬戸内海国立公園に属する景勝地。面積 2.63km2。人口 669 (2000) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「沼島」の解説

沼島

兵庫県南あわじ市、淡路島南部の土生(はぶ)港の南方約4キロメートルに位置する島。「ぬしま」と読む。面積約2.73平方キロメートル。高級ハモの産地として有名。古事記などの“国生み伝説”に出てくる「天(あめ)の沼矛(ぬぼこ)」とも「天の御柱(みはしら)」とも言われる高さ約30メートルの巨石「上立神石(かみたてがみいわ)」が東海岸にある。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の沼島の言及

【淡路島】より

…現在,小型底引網によるカレイ,イカ漁や一本釣りによるタイ,スズキなどの出荷が多い。南淡町の沖合4km,紀伊水道に浮かぶ沼(ぬ)島は全島岩山でわずかな平地に民家が密集している小島であるが,古くから水軍の基地,漁業の根拠地として著名であり,また固有の行事,慣習が残存していて民俗学的にも注目されている。淡路島の工業としては地場産業の瓦,線香があるが,いずれも零細規模の工場が多い。…

※「沼島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android