武蔵志(読み)むさしし

日本歴史地名大系 「武蔵志」の解説

武蔵志
むさしし

一七冊 福島東雄著

成立 享和二年頃

原本 福島常二氏蔵(自筆稿本)

写本 国立国会図書館・西尾市立図書館岩瀬文庫・世川家・井上家

解説 足立大間村名主福島東雄が著した地誌。一村ごとの記述は簡単だが、村明細帳的な地誌概念に基づき、農民としての立場でまとめた地誌として、全国的にも希少な史料といえる。国学者・俳諧師匠でもある著者は寛保三年に生れ、大間村の領主で「新編武蔵風土記稿編纂総裁であった林大学頭の影響もあってか、晩年の数年間をかけて一国地誌の編纂を目指すが、高麗葛飾の二郡と埼玉県の南半分が未完成となった。

活字本新編埼玉県史」資料編一〇所収

武蔵志
むさしし

一七冊 福島東雄著

成立 寛政期後半―享和二年以前

稿本 福岡常二

解説 著者は足立郡大間村の名主。郡別郷村単位の構成で、郷庄領の唱、村名および読み方、土性・集落形態・田畑山林・河川用水・堤防・橋梁・渡船・道路・社寺・古跡古物・古文書・金石文などを簡潔に記述する。高麗・荏原・久良岐・橘樹・都筑葛西の六郡は村名のみの記載が多く、足立・埼玉両郡の南部は記述がない。郡単位の写本で流布したらしく、各地に数郡分が残っており、原本にない総説の部も残る。

活字本 「新編埼玉県史」資料編一〇

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報