精選版 日本国語大辞典 「機関」の意味・読み・例文・類語
き‐かん ‥クヮン【機関】
〘名〙
① 仏語。禅宗で、師が学人を導くのに用いる、一喝、一棒など、巧妙な方法手段をいう。
※正法眼蔵(1231‐53)全機「いまの生はこの機関にあり、この機関はいまの生にあり」
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉二「抑もこの機器その制甚だ精密なるが故に、ただ一槌を受るのみにて、全体の機関(〈注〉カラクリ)これが為に廃して無用の物となる」 〔鬼谷子‐権篇〕
③ 心中の計略。たくらみ。
※読本・昔話稲妻表紙(1806)一「胸中の機関(キクヮン)」
④ 火力、電力、水力などのエネルギーを受け、これを機械的エネルギーに変えて他へ送る機械装置。原動機。
※西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉初「ハルグリーウ氏、紡績の機関を発明し」
⑤ =きかん(器官)〔英和対訳袖珍辞書(1862)〕
⑥ 法人や団体などが意思を決定したり、実行したりするために設けた組織。その形態や性格によって国家機関と私人機関、合議機関と単独機関、意思機関と執行機関などに分けられる。
※雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉下「政事上のことは言ふまでもなく何事を為すにも機関がなければならぬものだ」
⑦ 一般に、あるはたらきのために設けた組織。
※一年有半(1901)〈中江兆民〉一「経済界の附属品たる交通運輸の機関は日々に具備して」
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