某(漢字)

普及版 字通 「某(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] ボウ
[字訓] はかる・それがし・なにがし

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
曰(えつ)+木。曰は神に祝する祝詞を入れる器。それを木の枝に著けて神にささげ、神意を問い謀(はか)る意で、謀の初文。金文にこの字を「某(はか)る」と用いる例がある。〔説文六上に「酸果なり。木に從ひ、甘に從ふ。闕」とする。酸果は梅。字をの初文とするものであるが、その形義を説きえないので「闕」という。〔詩、周頌、訪落〕の〔序〕に「嗣王、に謀るなり」とあり、謀とは神意に謀ること、某がその初文。のち何某の意に用いる。〔儀礼〕に多くみえるが、それは神霊に対していう語で、〔礼記、曲礼下〕に「自らして某と曰ふ」とあるのは、その名残であろう。

[訓義]
1. はかる、謀の初文。
2. それがし、なにがし、自己の謙称。
3. あること、しかじかのこと。
4. (ばい)を古文の某とあやまる。うめ。

[古辞書の訓]
名義抄〕某 ソレ・ソコ 〔字鏡集〕某 ソレガシ・ソレ

[声系]
〔説文〕に某声として・謀・・媒など五字を収める。は郊の神で媒神、〔周礼、地官〕に媒氏の官があり、二姓を合することを謀る。(ばい)は〔説文〕四下に「孕(はら)みて、始めて兆あるなり」(段注本)とみえ、これらの字はみな某の声義を承ける。

[語系]
某m・媒・muと声近く、某の声義を承ける。母mは某と同声であるから、某は本来結婚・生子に関する語であろう。謀miumaもその系統の語である。

[熟語]
某乙某啓某甲某士某子某日某処某所・某等某甫某門

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報