精選版 日本国語大辞典 「枕詞・枕言葉」の意味・読み・例文・類語
まくら‐ことば【枕詞・枕言葉】
〘名〙
① 古代の韻文、特に和歌の修辞法の一種。五音、またはこれに準ずる長さの語句で、一定の語句の上に固定的について、これを修飾するが、全体の主意に直接にはかかわらないもの。被修飾語へのかかり方は、音の類似によるもの、比喩・連想や、その転用によるが、伝承されて固定的になり、意味不明のまま受け継がれることも多い。この修辞を使用する目的については、調子を整えるためといわれるが、起源ともかかわって、問題は残る。起源については諸説があるが、発生期にあっては、実質的な修飾の語句や、呪術的な慣用句であったと思われる。古くは、冠辞、諷詞、発語、歌枕などとも称され、序詞(じょことば)などを含んでいうこともある。「山」にかかる「あしひきの」、「光」にかかる「ひさかたの」など。
② 転じて、前おきのことば。
※評判記・難波立聞昔語(1686)山下半左衛問「どうみても枕言葉(マクラコトハ)がおおくてせりふやつし実ともにながし」
③ 寝物語。
※伊京集(室町)「臣等言(マクラコトバ) 臣下言也」
※洒落本・魂胆惣勘定(1754)上「こはとは、諸事の枕言葉(マクラコトバ)なり。たとへば、こは何をしなんすへ、こはあきれへすにへなどの類なり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報