東遊雑記(読み)とうゆうざつき

日本歴史地名大系 「東遊雑記」の解説

東遊雑記
とうゆうざつき

二六巻

別称 奥州名勝志・北国地名志 古河古松軒著

分類 紀行

解説 天明八年幕府巡見使に随行しての東北地方から北海道までの視察見聞記。巡見使随従という制約で、コースは慣例のものであるが、各私領の城地を漏れなく経由している点に特色がある。巻八―巻一一までが秋田県分。庄内から由利に入り、県南を巡視湯沢横手・久保田・土崎湊・能代・大館を経て津軽に向かう。町村の戸数・里数・伝説などを記すが、町の家並・家屋の状況詳記風俗人情にも及び、他領との比較を通して合理的視点から見聞を叙述する。

活字本 日本庶民生活史料集成

東遊雑記
とうゆうざつき

一二巻六冊 古河古松軒著

成立 天明八年序

写本 北海道大学附属図書館・東京大学附属図書館

解説 備中の地理学者古河古松軒が、天明八年幕府の奥羽巡見使に随行して奥羽および松前を巡回した際の紀行文。松前の記事は巻五―七にあり、その地の状況およびアイヌ風俗を詳しく記す。多数挿絵を含む。

活字本 平凡社東洋文庫・日本庶民生活史料集成第三巻

東遊雑記
とうゆうざつき

二六巻 古川古松軒

写本 足利文庫・内閣文庫

解説 天明八年幕府巡見使に随行して東北地方から北海道まで視察した際の紀行文。巡見使の随員としての立場上、その経路や見聞に限界はあるが、庶民の生活や風俗などをよく記している。

活字本 「日本庶民生活史料集成」三、「新編青森県叢書」二(抄録)

東遊雑記
とうゆうざつき

三〇巻一二冊 古河古松軒著

写本 内閣文庫

解説 天明八年幕府巡見使に随行して東北地方から北海道まで視察した際の紀行文。巡見使の随員としての立場上、その経路や見聞に限界はあるが、庶民の生活や風俗などをよく記している。

活字本 日本庶民生活史料集成三

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東遊雑記」の意味・わかりやすい解説

東遊雑記
とうゆうざっき

古川古松軒(こしょうけん)が1788年(天明8)幕府巡見使に従い、奥羽地方、蝦夷(えぞ)地(北海道)を視察した半年間の紀行誌。『西遊雑記』の姉妹編。12巻。6月9日(旧暦5月6日)江戸をたち、白河から会津道に入って日本海岸を北上して弘前(ひろさき)に至る。蝦夷地を8月21日(旧7月20日)からまる1か月巡視、帰路は仙台道、水戸街道を回って11月15日(旧10月18日)帰府。各地の人情風俗を上方(かみがた)・西国と比較して評価しており、蝦夷地については林子平(しへい)著『三国通覧図説』を鋭く批判している。当時の地方事情紹介として重要な資料である。

[石山 洋]

『大藤時彦解説『東遊雑記』(平凡社・東洋文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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