東近江(市)(読み)ひがしおうみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東近江(市)」の意味・わかりやすい解説

東近江(市)
ひがしおうみ

滋賀県中東部にある市。2005年(平成17)八日市市(ようかいちし)および神崎(かんざき)郡永源寺(えいげんじ)、五個荘(ごかしょう)、愛知(えち)郡愛東(あいとう)、湖東(ことう)の4町が合併して成立。2006年蒲生(がもう)郡蒲生町、神崎郡能登川町(のとがわちょう)を編入市域は東西に細長く広がり、東部は藤原岳、釈迦(しゃか)ヶ岳、御在所(ございしょ)山など、鈴鹿(すずか)山脈の山々が連なる。中央を愛知川が流れ、この川により形成された扇状地平地が広がり、南部は丘陵地となっている。JR東海道本線(琵琶湖(びわこ)線)、近江鉄道(おうみてつどう)本線、同八日市線、国道8号、307号、421号、477号が通じ、名神高速道路八日市インターチェンジが設置されている。古くから開かれた地域で、後期古墳があり、古代には荘園(しょうえん)も置かれていた。西部にある蒲生野(がもうの)は狩猟の場で、額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(おおあまのおうじ)がかわした相聞(そうもん)歌の舞台として有名である。また、早くから商業が発達し、八日市では定期市が開かれていた。江戸時代に活躍した近江商人発祥の地の一つで、五個荘金堂(こんどう)町には典型的な商家建築が残る。1998年(平成10)には金堂町地区が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。また、君ヶ畑(きみがはた)は全国に広がる木地師(きじし)発祥の地と伝えられている。平地を中心とする田園地帯では近江米や麦、野菜栽培が盛んで、乳用牛や肉用牛の生産も多い。また山間部では木材、キノコ、茶などが生産される。一方、工業では八日市インターチェンジの開設以来、工業団地も設置され、内陸工業地域として企業立地が進められている。春日(かすが)神社、押立神社布施神社本殿、石馬(いしば)寺の十一面観音像、興福(こうふく)寺の大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)、慈眼寺の聖観音像、百済(ひゃくさい)寺の日吉山王(ひえさんのう)神像など国指定重要文化財も多い。そのほか、近江商人博物館・中路融人(なかじゆうじん)記念館、世界凧(たこ)博物館東近江大凧会館、木地師資料館などの文化施設がある。面積は388.37平方キロメートル、人口11万2819(2020)。

[編集部]


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