キノコ(読み)きのこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キノコ」の意味・わかりやすい解説

キノコ
きのこ / 木の子

菌類が形成する大形の子実体(胞子をつくる器官)に与えられた一般的な用語で、「木の子」の意味から生まれた。菌、茸、蕈などもキノコを意味して用いられるが、いずれも訓で「たけ」とも読み、音はキン、ジョウ、ジンである。

 菌は、現在では菌界を構成する菌類を意味するが、元来はキノコ、すなわち英語のマッシュルームmushroomのことであった。このことは、菌類と人間とのつきあいはキノコから始まり、小さなカビや細菌は人間の認識の外にあったことを示している。ところがいまでは、菌といえば細菌を連想する人が多い。これは、菌類に対する正しい理解がまだ定着していないためである。

[今関六也]

キノコの体制

キノコ、つまり菌類がつくる大形の子実体は、いわば植物の花に相当する器官である。キノコをつくる菌の本体は土の中や落ち葉、材木の中に伸び広がる菌糸体であって、いわゆる外形としてとらえたキノコだけで生きているのではない。その点は、カビといわれる菌類も変わらない。カビという語も、キノコと同様に一般的用語にすぎず、学問上のことばではない。

 キノコといわれる大形の子実体をつくる菌類は、真核菌類の子嚢菌類(しのうきんるい)と担子菌類に含まれるが、大部分は担子菌類に属する。

 このようにキノコは多くの菌類の各分野に分散するので、子実体すなわちキノコの形はさまざまである。ただし、いちばん多いのは担子菌類のなかの帽菌(ぼうきん)類に属するサルノコシカケ目とマツタケ(ハラタケ)目であり、とりわけ人とのかかわりが深いのはマツタケ目である。このため、一般の人々は、キノコといえばマツタケ形のキノコを頭に浮かべる。原爆雲を、きのこ雲というのもその一例であろう。

 マツタケ目のキノコは種類が多く、ほとんどが肉質で食用の対象となるので、人とのかかわりは古くから多かった。形は雨傘形で、「かさ(傘)」「ひだ」「くき(茎)」、茎の上部にある「つば」、茎の根元にある「つぼ」という五つの部分がそろっているのが、いちばん複雑な形である。種によっては、この形から、まず、つぼ、またはつばが欠けたり、さらに、つばもつぼもなくなって、傘、ひだ、茎の三つだけのものになる。三つだけというのがいちばん普通の形であるが、なかには傘とひだだけという単純な形のキノコもある。

 マツタケ目を分類するうえで重要な見どころは、胞子の色である。胞子の色とは、ひだから紙の上に落とし積もらせた胞子紋の色をいう。大ざっぱに、白、淡桃色(桃肉色)、茶褐色、黒褐色(暗紫褐色)、黒の5群に分けられるが、これらの中間色もある。次に、ひだが茎に接する部分の形を、離生(隔生)、直生、湾生、垂生などに分ける。さらに肉の質や外形などを取り上げ、これらの特徴を組み合わせ、さらに顕微鏡的性質、たとえば胞子の形、菌糸組織の構造などを加えると、マツタケの仲間数千種は、15余りの科と200を超える属に分類することができる。

 胞子が形成される面を子実層という。マツタケ目のキノコは、傘の裏にナイフ状のひだがあり、その表面に子実層ができる。同じマツタケ目でもアミタケの仲間は、ひだのかわりに細い管孔(くだあな)が並び、管孔の内面に子実層ができる。このほかに、ひだの原形ともいうべき、しわのようなひだをつくるものがある。アンズタケはその代表である。

 サルノコシカケ目のキノコは、革質、コルク質、木質で硬いものが多い。一年生が多いが、木質のキノコには多年生で巨大になるものがある。肉質のものには優れた食用菌がある。サルノコシカケ目では、傘の下側にひだが並ぶものは少なく、
(1)管孔が並ぶもの(サルノコシカケ科)
(2)無数の針状の突起が密生するもの(ハリタケ科、イボタケ科)
(3)いぼがあるもの(イボタケ科)
(4)しわも、くぼみもなく平坦(へいたん)なもの(コウヤクタケ科、ウロコタケ科)
などがある。

 サルノコシカケ目やマツタケ目は、胞子をキノコの外面に露出してつくる。これに対して腹菌類では、キノコの体内に胞子をつくる。肉の中に小さな室ができて、その内面に子実層が発達する。胞子は成熟してから初めて体外に放出されるので腹菌類と名づけられた。ショウロ、ホコリタケ、スッポンタケなどの仲間が腹菌類であり、食用にされるものも少なくない。

[今関六也]

キノコの生態

菌類は、生態系において有機物を分解して無機物に還元する生物である。キノコの大部分は森林の生物であり、森林生態系においては、おもに落ち葉と木材とを分解する。とくに木材分解の主役はキノコであり、これらの菌を木材腐朽菌という。木材腐朽の対象が有用木材とか木造建造物である場合には、その菌は有害菌とみなされるが、木材を分解するキノコがもし存在しなかったら、森林は木材の堆積(たいせき)場となり、森林そのものの存立も不可能となるわけである。木材腐朽菌が立ち木に侵入し、木が生きているうちから心材や辺材の腐朽を始めると、木は材質腐朽病をおこし、枯死はしないが折れやすくなる。それが風害の原因となり、森林を崩壊に導くことがあるので、木材腐朽菌は森林の遷移に重要なかかわりをもっている。これら木材腐朽菌には、自然界でのシイタケ、ナメコ、エノキタケなども含まれる。

 木材腐朽菌に対して、マツタケ、ホンシメジ、ハツタケなどは菌根菌といって、生きている木の、生きている細い根に同居し、居候(いそうろう)的生活をするキノコである。しかし、これらのキノコと木とは共生的関係にあり、木の栄養生活を支えており、樹木の生活にとって欠くことのできない協力者の働きをしているのである。

 キノコの役割として、このほかに重要なのは病原菌としての働きである。木材腐朽菌や菌根菌は宿主の生命を奪わないが、立ち木に侵入し、積極的に木を枯らすキノコがある。この仲間のキノコは少ないが、日本ではナラタケがその代表である。

[今関六也]

食用キノコ

日本は森林の豊富な国であり、大昔の日本人は海を前に、森を背にして、海の幸・山の幸に恵まれて生活した。キノコは山の幸の一つとして、古くから賞味されてきた。日本のキノコはきわめて複雑で、アジア大陸東部のキノコを主とするが、欧米系、東南アジア系、熱帯系のキノコなどが入り混じり、種類もきわめて多い。そのなかで、マツタケ、ホンシメジ、ハツタケをはじめとして、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ、ナラタケ、クリタケ、サクラシメジ、アミタケ、ショウロ、ホウキタケなどは古くから日本人に愛されてきた。また、産地が限られているナメコ、マイタケ、コウタケなどは、地方の特産品として独特の名物料理を生んだ。秋田のきりたんぽとマイタケなどが一例である。これらのキノコは日本人好みの一級の食用菌である。こうしたキノコには欧米と共通のものも多いが、日本人と欧米人との間には好みにも料理にも違いがある。

 日本料理では、キノコがもつ自然の風味をたいせつにするので、マツタケ、ホンシメジ、シイタケ、ナメコ、エノキタケなどを好むが、欧米ではマツタケ、シイタケなどは好まない。欧米人が一級品として食用にするのは、ハラタケ、アンズタケ、ヤマドリタケアミガサタケなどであり、これらは、日本では昔から食用としては不適とされ、なかには見向きもされなかったものもある。このように、キノコの食用としての適否は、経験によってのみ確かめられるものであり、国により、あるいは地方によって違いが生じるものである。日本での食用キノコは、地方的なものも含めると、およそ200~300種と考えられる。

 食品としてのキノコの価値は、栄養価の面から評価するのではなく、植物質や動物質の食品からは得られないものが、キノコをはじめとする菌類にあることを忘れてはならない。キノコには健康食品としての重要な意義があり、それは「菌食論」のなかによく表れている。

[今関六也]

キノコの栽培

日本のシイタケ、中国・東南アジアのフクロタケ(中国名は草菇(ツァオグー))、欧米のマッシュルーム(日本名ツクリタケ)を世界の三大栽培キノコという。シイタケは木材腐朽菌、あとの2種は落ち葉や枯れ草などを腐らせる死物寄生菌であるため栽培は容易である。同じような生活様式をとるキノコは、食用、薬用にかかわらず栽培は可能である。近年は食用菌に対する需要が増え、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケの栽培が盛んであり、さらにキクラゲ、シロキクラゲ、マイタケ、クリタケ、シロタモギタケなどの栽培に発展している。今日、これらのキノコの栽培産業は年間生産額が2315億円を超える重要産業となっている(1999)。これに対して、マツタケ、ホンシメジ、ハツタケなどのように菌根をつくるキノコは栽培できない。とくにマツタケについては精力的な研究が進められ、森林の取扱い方による増産への道は開けたが、自由に栽培することはまだむずかしい。

[今関六也]

毒キノコ

キノコ好きの日本人にとって、「茸狩(たけが)り」は秋の楽しい行楽である。収穫された野生の食菌の一部は市場に出されるが、多くはそのまま家庭の食卓にのせられる。しかし、食用にされる種類が多いだけに、毒キノコによる中毒も少なくない。外国でも同様で、北欧諸国やイタリア、フランスなどのキノコ好きの国ではキノコ中毒がある。ただ、それらの国と日本との違いは、キノコに関する研究と一般への啓発という面であり、この点については、残念ながら日本は著しく後進国となっている。

 日本では毒キノコの見分け方として、茎が縦に裂けるキノコは食べられる、毒キノコは色が鮮美である、ナスといっしょに煮れば毒にあたらないなどの言い伝えがあり、しかも、これを信じている人が多い。これらは、いずれも根拠のない、まったくの迷信であり、この迷信を打破することが中毒を防ぐ第一歩である。厚生労働省の統計によると、キノコ中毒者の数は年平均約200人ほどであるが、隠れた中毒者は、これに数倍するであろう。またこの数字は、明治から今日にかけてあまり変わっていない。日本人の日常生活がどれほど近代化しても、日本人のキノコ好きはすこしも変わっていないし、相変わらず毒キノコの安易な見分けという前述の迷信を信じ、同じキノコによる中毒を繰り返している。

 おもな食用キノコが属するのは、15余りの科に分類されるマツタケ目であるが、毒キノコはどの科にもある。そのことは、毒キノコに共通した特徴がないことを意味する。また毒成分も、中毒症状もさまざまであるため、2、3の試薬で毒キノコを見分けることは不可能である。アメリカのリンコフLincoffとミッチェルMitchellは、キノコの毒性を次のように分類している(〔1〕~〔4〕は毒の作用、(1)~(7)の通番は毒成分)。

〔1〕細胞を破壊し、肝臓、腎臓(じんぞう)を冒す致命的な毒。食後発病までの潜伏時間は6~10時間。

(1)環状ペプチド(アマトキシン類など)による。例=ドクツルタケタマゴテングタケ、コレラタケなど。

(2)ジロミトリンによる。例=シャグマアミガサタケ

〔2〕おもに自律神経系に作用する毒。

(3)酒とともに食べると中毒。例=ヒトヨタケホテイシメジなど。

(4)ムスカリンアルカロイド)による。例=アセタケ属、カヤタケ属など。

〔3〕おもに中枢神経系に作用する毒。

(5)イボテン酸、ムツシモルなどのアミノ酸による。例=ベニテングタケなど。

(6)シロシビン、シロシンによる幻覚性症状。例=ワライタケシビレタケアイゾメシバフタケなど。

〔4〕おもに胃腸粘膜などを刺激して、下痢、嘔吐(おうと)、腹痛をおこすが、致命的でない毒。

(7)毒成分はほとんど不明。例=ツキヨタケイッポンシメジ、カキシメジ(マツシメジ)など。

 この分類にもあるように、毒キノコの横綱格といえるのはドクツルタケなど、テングタケ科タマゴテングタケの仲間であり、茎にはつばがあり、茎の根元に袋状のつぼがあるのが特徴である。この形のものにも食菌はあるが、つぼがあるキノコは絶対に食べないという配慮が必要である。また、キノコの採集にあたっては、かならず根元からとることも心がけたい。日本でいちばん中毒が多いのは次の3種である。

(1)ツキヨタケ。ブナの枯れ木に群生。短い茎の肉に黒いしみがある。

(2)イッポンシメジとその仲間。形、色ともホンシメジに似るが、ひだは淡桃色、胞子紋も淡桃色。

(3)カキシメジ(マツシメジ)。松林、雑木林に生える茶色のシメジ。ひだも肉も初めは白いが、茶色のしみができる。

 日本から毒キノコによる中毒をなくすためには、学校教育などで、毒キノコの迷信的な見分け方を捨てさせ、前述したような正しい採集法、あるいは見分け方を指導する必要がある。そうすれば、中毒件数はいまの3分の1程度に減ずることであろう。

[今関六也]

薬用キノコ

日本薬局方には、漢方医薬品として、かつてサルノコシカケ目のエブリコが載っていたが、いまは除かれて、新たにサルノコシカケ目のブクリョウ(茯苓)とチョレイ(猪苓)が載せられている。両薬とも利尿効果が高く、各種の漢方薬の処方に用いられる重要なキノコである。キノコの薬用については草根木皮(そうこんもくひ)を主剤とする漢方医学で研究されており、中国人の刘波(りゅうは)が著した『中国薬用菌類』(1974)には、キノコだけではないが78種の菌が載せられている。このなかには民間薬的に利用されるものも多いと思われるが、その一部は日本でも民間薬として用いられている。

 とくに癌(がん)の民間治療薬としてサルノコシカケ類が日本各地で用いられ、しばしば顕著な効果があるといわれてきた。医薬学界でもこれに注目し、活発な研究が行われた。その結果、カワラタケからクレスチン、シイタケからレンチナンのような制癌薬が開発されている。このほか、コフキサルノコシカケ、マンネンタケ(霊芝(れいし))なども、その制癌効果が大いに期待されている。また、シイタケのもつ降コレステロール、降血圧性成分、あるいは抗ウイルス性インターフェロンの誘起性なども研究されており、薬用としてのキノコ、菌類の将来には大きな展望が開けているといえよう。

[今関六也]

キノコの民俗・風習

キノコを好むと好まざるとにかかわらず、人々は昔から神秘の生物としてキノコをとらえてきた。ヨーロッパの人々は草原に輪(わ)(菌輪(きんりん))を描いて生えるキノコを見て妖精(ようせい)の踊り場とし、森を彩る赤、白、黄、紫などのキノコから、おとぎの国に誘われ童心に返った。また、スカンジナビアのバイキングは、シラカバの林に多いベニテングタケを食べて神経を興奮させ、士気を高めて戦いに出陣した。こうしたことからもわかるように、ヨーロッパには、ベニテングタケが幸福をもたらすキノコであるという考えがあった。いまでもベニテングタケをかたどった装身具、飾り物、調味料入れをつくったり、テーブル掛け、壁掛けなどの図案にこのキノコを取り入れている。また、キノコ好きの東欧諸国では、キノコを図柄とした郵便切手が発行されている。

 日本では、ヨーロッパの人々がもったようなキノコに対する発想はない。民芸品として、マツタケを抱く「おかめの人形」があるが、これはキノコの形からエロティックな連想を抱いたものであり、このような例は日本だけのことではないので、日本独特の民俗資料とするにはあたらない。キノコに関する日本固有の民俗、風習は少ないが、奈良時代の昔からマンネンタケを福草(さきくさ)とよび、めでたいキノコとして縁起をかついできた。このキノコは色も形も美しいために、よく絵画の対象とされ、またマンネンタケをかたどった置物、焼物、その他の装身具をつくり、幸福を願った。この風習の起源は、古代中国思想の根底にある道教に求められる。福禄寿(ふくろくじゅ)(多子、富貴、長生)の願望のなかで最大の関心は不老長生であり、悲願達成のためには全知全能を傾けた。マンネンタケは、これにこたえる霊験あらたかなキノコとして珍重され、さまざまな夢を与えてくれた。

 神秘の生物キノコの受け止め方は民族によって違う。アメリカのモルガン銀行の総裁だったワッソンR. G. Wassonはこのことに興味をもち、キノコ民俗学ethnomycologyなる新分野を開いた。そのきっかけとなったのが、メキシコ・インディアンに伝わる幻覚性キノコにまつわる奇妙な風習であった。彼らは、このキノコを毒とはみなさず、中毒症状を神がかりの状態とし、キノコを通して神と対話し、神の託宣を聞くことができると考えた。このため、幻覚性キノコはむしろ神聖なキノコとされ、神に仕える巫女(みこ)や祈祷(きとう)師だけが食べられるとした。巫女は祭壇の前で幻覚性キノコを食べ、民衆の悩みに答えを与えるのである。ワッソンはメキシコ山中で自らこれを体験し、夫人との共著で1957年に2巻にわたる大著『Mushrooms, Russia and History』を著している。

[今関六也]

調理

日本料理は、キノコがもつ自然の香り、味、歯切れなどをたいせつにするので、風味豊かなマツタケ、ホンシメジ、ハツタケ、クリタケ、ナラタケ、サクラシメジなどの野生種のほか、栽培種のシイタケ、ヒラタケ、エノキタケなどのキノコが珍重される。料理法もキノコの持ち味を生かすように考えられてきた。鍋物(なべもの)、煮物、澄まし汁に広く用いられるが、ぬめりがあって舌ざわりのよいキノコは大根おろし和(あ)えによく、またみそ汁の実にしてよい。和え物には大豆、納豆、豆腐、クルミなどさまざまなものが用いられる。そのほか、揚げ物、茶碗(ちゃわん)蒸しの具にもされるが、マツタケ、コウタケ、ハツタケなどは季節感を味わうきのこ飯として広く賞味される。炭火で焼いてしょうゆ、みそ、塩などをつけて食べるのはマツタケ、シイタケなどでは珍しくないが、いわゆる雑キノコの食べ方としてもよい。マツタケ、シイタケなど肉が厚く身がしまったキノコは揚げ物にもよいが、一般には植物油で炒(いた)めてから野菜と煮つけたり、中華風にチャプスイ(雑砕)の具にするのもよい食べ方である。

 中国料理ではシイタケ(香菇(シャングー)、香菰(シャンクー))、キクラゲ(木耳(ムーアル))、フクロタケ(ツァオグー)は欠くことができない。日本から大量に輸出されるシイタケは、世界に進出している中国料理に用いられる。フクロタケは中国南部から東南アジアにかけて広く栽培される。中国ではこのほかシロキクラゲ(白木耳(パイムーアル)、銀耳(インアル))、キヌガサタケ(竹蓀(チュースン)、竹参(チューツァン))など、ほかではまったく見向きもされないキノコが珍重される。またヤマブシタケ(猴頭(ホウトウ))も高級料理に用いられる。

 西洋料理でもキノコは重視される。キノコと西洋人のつきあいはギリシア・ローマ時代からで歴史は古い。とくにキノコを好むのはロシア、北欧諸国、フランス、イタリア、スペインなどで、料理もそれらの国で発達した。材料としてはいわゆるマッシュルームが第一であるが、野生のものとしては、芝生や草原のキノコであるハラタケ、シバフタケ、ササクレヒトヨタケ、森のキノコであるヤマドリタケ、アンズタケ、アミガサタケ、ムラサキシメジ、タマゴタケの一種シーザーズ・マッシュルームCaesar's mushroom、アカハツ、カンゾウタケ、ガンタケなどが珍重される。これらは日本にもあるが、日本ではほとんど食べられない。このほかに雑木林に生える地下生のキノコであるトリュフtruffe, truffleはフランスやイタリアの高級料理に用いられるが、日本にはない。強烈な香りをもつキノコである。一般に料理としてはバターを使うものが多いが、青トマト、ニンジン、タマネギなどと混ぜてピクルスにし、マッシュルーム、カンゾウタケなどはなまのまま薄切りにしてサラダとしても食べる。

[今関六也]

『川村清一著『原色日本菌類図鑑』第1~第8巻(1954~1955・風間書房)』『今関六也・本郷次雄著『原色日本菌類図鑑』正続(1957、1965・保育社)』『今関六也・本郷次雄・椿啓介著『標準原色図鑑全集第14巻 菌類(きのこ・かび)』(1970・保育社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「キノコ」の意味・わかりやすい解説

キノコ (菌/蕈/茸)

キノコといわれる生物は菌類の中で大型な子実体をつくる菌をさし,学問的用語というより,通俗的な言葉である。しかしキノコの大部分は担子菌類に所属し,マツタケ,シイタケなどのハラタケ目とサルノコシカケの仲間によって代表される。これらのキノコは森林で生活し,落葉や木材を分解する主役となり,森林生態系における物質循環にあって掛替えのない役割をはたす。

 日本は元来,森林の国であり,キノコは森の生物のため,日本人は世界的にみてキノコ好きの民族である。キノコの古語はクサビラまたはタケで,キノコは比較的新しい言葉である。ほかに多くの地方的呼び名がある。例えばナバ(西南日本),クサビラ(奈良県一部),タケ(近畿,東海,山陰,中国東半部,四国東半部),コケ(北陸,岐阜,新潟),キノコ(東日本),ミミ(佐渡,能登),モタシ,モダシ,モタセ(東北地方)などである。このように語彙が多いのは,キノコについての関心の深さを示している。キノコを意味する漢字はきわめて多いが,〈菌〉が古くて普遍的である。今日の生物学は菌類を植物でも動物でもない第3の生物とみなすことが多く,キノコ,カビ細菌などを総称する。人間と菌類とのつきあいは肉眼的な菌すなわちキノコから始まり,それに菌という漢字がつくられた。顕微鏡が発明されてからカビも同類とされ,さらにバクテリアも細菌として仲間入りした。ところが今では菌といえば細菌を連想する人が多くなったが,これは誤りである。キノコは英語ではマッシュルームmushroom,フランス語ではシャンピニョンchampignon,ドイツ語ではピルツPilzという。

人類とキノコとのつながりは,食用から始まったといえよう。森林を背にし海辺に住んだわれわれの先祖は,海の幸と山の幸に恵まれた。キノコは山の幸の一つである。キノコがもつ独特の風味は日本人の心をとらえ,また健康を支えた。自然のもつ風味と季節感をたっとぶ日本料理では香り高いマツタケ,シイタケ,コウタケなどの風味をこよなく愛した。そして茸狩りを楽しんだ。マツタケに近縁のキノコは欧米にもあるが,彼らはこれを好まない。欧米人が好むキノコはマッシュルーム,ヤマドリタケ(イグチの仲間),アミガサタケなどであり,いずれも日本料理には不向きである。

 茸狩りが好きで,キノコをよく食べる日本には中毒も多い。われわれに伝わる毒キノコに関する知識は,先祖が身をもって体験したいわば人体実験の積重ねによってかちえた貴重な知見である。それにもかかわらず,いまだに同じキノコによる中毒を繰り返しているのは,毒キノコを簡単に見分ける方法がないからである。昔から茎が縦に裂けるキノコは食べられるとか,毒キノコは華美な色をするとか,ナスとともに煮れば中毒しないとかいわれているが,すべて誤りである。毒キノコの種類は必ずしも少なくないが,食用キノコにくらべればはるかに少ない。しかも実際に中毒を起こしているキノコは決して多くない。また毒性にも差があり,致命的な毒性をもつものとそれほどではないものとがある。また後者には胃腸障害,神経系統をおかすものなどがあり,中毒症状もさまざまである。以上のことから見て,第1に致命的な猛毒菌としてドクツルタケ(シロタマゴテングタケを含めて),致命的ではないが中毒件数がとくに多いツキヨタケ,イッポンシメジ(クサウラベニタケを含めて),カキシメジ(マツシメジを含めて)などの見分け方を衆知すれば,日本のキノコ中毒者の数は現在の1/3~1/4に減るであろう。

 ドクツルタケは日本における代表的猛毒菌で,茎の根もとに袋状のつぼがあり,上の方に膜質のつばがある。テングタケ科の特徴を完全にそなえている。このような形のキノコは白・黄・緑・赤色にかかわらず,いっさい食用にしてはならない。致命的ではないが,中毒がいちばん多いのはブナの枯木に群生するツキヨタケである。半円形のかさの横につく短い茎を切ると,肉に黒い斑紋があることが特徴である。次に中毒が多いのが,雑木林に生えるイッポンシメジの仲間である。形,色ともホンシメジに似ており,色はじみで茎は縦に裂けるが,ひだの色が淡桃色をおびることが見分けの急所である。カキシメジは松林,雑木林のキノコで,形はシメジ型,かさも茎も茶色で毒々しくない。ひだは白いが茶色のしみがでて,よごれやすいのが特徴である。ツキヨタケ以下は激しい嘔吐,下痢,腹痛を起こす。

西洋医学ではほとんど利用されないが,漢方薬としてはサルノコシカケ科のブクリョウ,チョレイなどは欠かせぬ重要なキノコである。一方,癌の民間薬として同じ科のコフキサルノコシカケ,カワラタケなどが広く用いられ,現在ではカワラタケから制癌薬としてクレスチン(商品名)が開発された。またシイタケをはじめとしてキノコ全般にわたって制癌物質の探求が進められ,とくにシイタケについては制癌性のほか対ウイルス病に関しても期待がよせられている。そのほか中国で古くから霊芝(れいし)の名で不老長生のキノコとされたマンネンタケの栽培が開発された。
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食用や薬用のキノコ栽培は,世界的にみると,マッシュルームが生産量の過半を占め,シイタケがこれにつぐ。国別では日本が第1位の生産国であり,シイタケ,エノキなど十指をこす多品種が栽培されている。日本では古くから丸太にシイタケをはやすことが行われてきたが,それが栽培の名に値するものとなった時期は1960年に近いころである。その後の発展は目覚ましく,生産額はリンゴをこえ,ミカンに近づいている。本来,林家の副収入確保の意味で始められたが,需要の急増,対応する設備の充実のため専業家があらわれはじめ,必然的に種菌供給会社,関連装置製造会社が登場し,年商2000億円をこえる産業となった。

 キノコは植物のような光合成能力をもたないので,栽培地(培地)からすべての栄養物をとる。また,キノコはカビの一種であるが,カビやバクテリアはどこにでもいるから,キノコだけが育つには条件が限られる。この培地と殺菌方法により,いま行われている栽培法は三つに分けられる。第1は原木栽培である。皮つき丸太に種菌をうめこみキノコの発生を待つ方法で,日本のシイタケ生産がこの代表例である(〈シイタケ〉の項を参照)。原木栽培はシイタケ以外のキノコでも広く行われていたが,これらは逐次木粉栽培におきかえられている。しかし大型,肉厚のキノコ生産には捨てがたい利点をもつ。第2は木粉栽培(菌床栽培,おが粉栽培)で,木粉と米ぬかとを体積比3対1で混ぜてプラスチック製の瓶に入れ,高圧蒸気で殺菌したものを培地に使う方法である。長野県中野市を中心にエノキタケ栽培で開発,発展した。エノキタケでは培地に種菌を接種後,18℃の部屋に20日おいて菌をまんえんさせてから,13℃の部屋へ移してキノコを発生させる。このままでとれるエノキタケは形状,歯ざわりが好ましくないので,さらに環境調節を行う。すなわち10日後に8℃の部屋へ移して瓶全体のキノコの大きさを整えてから4℃の部屋へ移して生育させ,収穫する。菌のうえつけから収穫まで約50日間である。ヒラタケ,ナメコ,マイタケなども似た手順で行う。第3はわら栽培である。わらは微生物の作用で分解されると,その際発生する熱で殺菌される。これを培地に使う方法で,マッシュルームの栽培で発展した。欧米では他のキノコにも似た方法を用いる。マッシュルームでは,培地の作成に約25日かかる。すなわち麦わらを窒素を含む鶏糞(けいふん)などとまぜて放置すると75℃にもなる。10日余で,堆肥ができる。堆肥を木でつくった枠にいれ,石灰などを加えて放置すると10日余で熟成する。これを培地として種菌をまく。20~25℃で2~3週間たち菌が生育したのを確認して,その上を土またはピートで覆う。これが刺激となりキノコが発生する。わらの堆肥化処理開始後,収穫まで約60日間である。フクロタケ,キクラゲなどもわら,バガスなどで栽培されるが,殺菌は簡単な方法で,また覆土は行われていない。
執筆者:

国により民族によって違うが,キノコには特別の関心をもつ人が多い。一方では魔性の生き物として恐れられ,一方では不老長生の霊薬とされ,あるいは幸福の使者とされ,ときにはおとぎの国,夢幻の世界に誘う神秘の生き物とされる。アメリカのモルガン商会の総裁であったワッソンR.G.Wassonは,趣味から取り組んだキノコにまつわる民俗学的研究を発展させて,キノコ民俗学ethnomycologyの分野を開拓した。ワッソンの研究はメキシコの山岳地帯に住む原住民に伝わる幻覚性キノコに伴う風習について,またインドのバラモン教の聖典《リグ・ベーダ》にある神にささげる聖なる供物ソーマについて考証をすすめ,これがベニテングタケであるという独創的な説を発表した。

 ベニテングタケは毒キノコであるが,ヨーロッパではこれを幸福をもたらすキノコとして壁掛け,置物,服飾のアクセサリーなどの図案,題材に用いる。道教の思想をいだく中国人は福禄寿(ふくろくじゆ)を現世の理想とし,寿すなわち不老長生をもたらすものとして霊芝を瑞祥(ずいしよう)の象徴としてたっとび,絵画や置物の題材にとりいれた。霊芝によっていかに長寿を願ったかは,道教の15世紀はじめの経典《道蔵》の第1051巻に〈太上霊宝芝草品〉があり,これに1000年から10万年の長寿を保つという空想の芝草すなわち霊芝のたぐい127種を図説してあることによっても明らかである。

 キノコの古名のタケの語源は〈猛(たけ)り〉〈長(た)ける〉で速やかな生長を意味するとする説もある。そしてキノコはその形から男根の連想を生んだ。この連想は日本民族だけのものではないが,日本の文化にかかわりの強い中国文化の影響ではない。キノコ形に石を刻んで金精様(こんせいさま)と同様に祭り,また夫婦和合,子宝を願って,おかめがマツタケ形のキノコを抱く人形を古くから民芸品としてつくる地方がある。中国文化の影響をうけてからは霊芝を幸福の使者とするようになり,福草(さきくさ),幸茸(さいわいたけ)の名でも呼んだ。庭にマンネンタケが生えると瑞兆とし,一家のあるじが旅立つときはマンネンタケを門先にさげて無事の帰還を祈る地方もあったといい,カドデタケの名も生まれた。霊芝はまた画材にもなり,これをかたどった置物,文鎮,はし置き,根付などさまざまな装飾品もある。これ以外にもマツタケ,ホンシメジ,ハツタケなども霊芝と同様にかたどられる。
執筆者: ヨーロッパでは日本ほど食用にされないが,イタリアでは食べ,その風習がキリスト教徒を介してドイツにも入った。赤い毒々しいキノコは悪魔に関係づけられ,生長がひじょうに早いため小人や妖精とも結びつく。なかでもホコリタケはほこりのいっぱい詰まった袋の形で人々の注意をひき,これが雨後多量にあらわれることから雨の妖精とみなされ,キリスト教改宗前には,人間に恵みの雨を降らせるトール神の娘とされた。キノコの起源に関係のある聖徒伝説もある。イエスと弟子たちに何も食物のないことがあった。ペテロはパンを盗んで,こっそり食べようとした。ひと口口に入れ食べようとすると,そのたびにイエスが話しかけるので,ペテロは全部吐き出さなければならなかった。そのパンが地上に落ちたところからキノコが生えたのだという。村の女子どもの楽しみの一つに茸狩りがある。俗信によるとキノコのたくさんできる年は飢饉になるとされる。
執筆者:

日本人は古くからキノコをよく食べたが,最も珍重されたのはマツタケである。マツタケに続いては,《梁塵秘抄》に〈聖の好むもの……松茸(まつたけ),平茸,なめすすき〉と見えるように,〈平茸〉や〈なめすすき〉が喜ばれた。ヒラタケの名は《今昔物語集》などに多く見られ,当時の国司らの“転んでもただでは起きぬ”式の強欲さの典型とされる藤原陳忠(のぶただ)が,転落した深い谷底から事のついでと取ってくるのも,ヒラタケということになっている。〈なめすすき〉は滑薄と書くこともあり,エノキタケの異名とされる。ほかにシイタケ,ショウロ,シメジ,イワタケなどが中世の文献にしばしば見られる。近世初期に刊行された《料理物語》には,以上のもののほかに,〈初茸〉〈いくち〉〈よしたけ〉〈木くらげ〉〈かうたけ〉〈鼠茸(ねずたけ)〉の名が見える。このうち,〈いくち〉はなん種類かの集合名ともいわれるが,次の〈よしたけ〉とともに実体不明,〈かうたけ〉はコウタケで,革茸,皮茸などと書き,〈鼠茸〉はホウキタケの別称である。
執筆者:


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百科事典マイペディア 「キノコ」の意味・わかりやすい解説

キノコ

菌類の中で,繁殖器官である子実体が比較的大型のもの,またその子実体のことをいう。カビなどと同じく通俗的な用法で,分類学的に厳密な定義はできない。子嚢菌類の盤菌類と,担子菌類(サビ菌,クロボ菌類などを除く)が含まれる。担子菌類では胞子が棒状や球状の担子基に一定数ずつつき,それらが集まって子実層をつくる。キノコが長い柄とかさをもち,かさの下面に孔やひだがあることは,限られた狭い部分になるべく多くの胞子をつけ,それらが飛び散るのに都合がよい。キノコの体は寒天質,肉質,紙質,炭質,コルク質などさまざまであるが,一般に寒天質,肉質のものは寿命が短く,炭質,コルク質のものは多年にわたって生長する。キノコは全世界に数千種あり,地中,地上,腐木上または特定の植物に腐生,寄生または共生している。冬虫夏草など昆虫につくもの,サルノコシカケなど樹幹や材について腐朽させるもの,ヤグラタケのように他のキノコに重複寄生するものなど,いろいろなものがある。食用キノコとしては,マツタケシイタケエノキタケシメジマッシュルームなどが代表的なもので,多くの種で栽培が実用化されている。毒キノコは種類は必ずしも少なくないが,食用キノコにくらべればはるかに少ない。毒成分は消化器,呼吸器,神経,血液などを冒す。毒キノコと食用キノコとの簡単な見分け方はなく,通用されている方法のほとんどは誤りである。しかし,茎の根もとに袋状のつぼがあり,上の方に膜質のつばがあるのは猛毒のテングタケ科の特徴なので,絶対に避けた方がよい(テングタケドクツルタケ)。そのほか中毒件数の多いツキヨタケ,イッポンシメジの見分け方を覚えれば,中毒事故は大幅に減らすことができる。
→関連項目真菌

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栄養・生化学辞典 「キノコ」の解説

キノコ

 菌類の一種.担子菌類と子嚢菌類がある.子実体を作り,それを通常キノコといい食用にする.有毒のものも多い.

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世界大百科事典(旧版)内のキノコの言及

【菌糸】より

…後者の場合,菌糸は常に1細胞列で,隔壁の中央に穴があって両隣の細胞は連絡し,その穴を通して物質の移動が行われる。担糸菌類では,各細胞に1個の核をもつ菌糸(一次菌糸)が異性の菌糸と接合するが,双方の菌糸に由来する2個の核はすぐには融合せず,それぞれが独立に分裂するため,2核をもつ菌糸(二次菌糸)が発達し,この二次菌糸が子実体(いわゆるキノコ)を形成する。菌糸の細胞壁の主成分は一般にキチンまたはヘミセルロース,あるいはその両者である。…

【菌類】より

…有性生殖の結果,担子器を形成し,その上に担子胞子を外生する。単相の一次菌糸と,遺伝子型の異なる2型の核を含む重相の二次菌糸とがあり,二次菌糸が集合して組織化した子実体がキノコに当たる。子実体の決まった部位に担子器が柵状に並び,担子器上端にできる小柄上に担子胞子が形成される。…

【食用植物】より

…緑藻類(ヒトエグサ,スジアオノリ,カワノリ,クロレラなど),褐藻類(モズク,マツモ,マコンブ,ミツイシコンブ,トロロコンブ,ワカメ,ヒジキなど),紅藻類(アサクサノリ,スサビノリ,チシマクロノリ(岩海苔),フクロフノリ,マフノリなど),ラン藻類(スイゼンジノリ,カワタケなど)がある。 菌類のつくり出すキノコも食用として重視される。現在市場に出回っているシイタケ,エノキタケ,ナメコ,ヒラタケ,マイタケ,マッシュルーム,フクロタケなど,大部分のものは栽培されたものである。…

※「キノコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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