たこ

改訂新版 世界大百科事典 「たこ」の意味・わかりやすい解説

たこ

胝腫(べんちしゆ)tylosisとも呼ばれる。皮膚の小範囲に限局した角質の肥厚,増殖で,靴があたるなどといった長期間にわたって反復する圧迫摩擦などの機械的刺激によって生ずる。一種の生体防御反応である。一般に角質が楔状に皮膚に杭を打ち込んだようになっており,まわりの皮膚がこれをとりかこんで魚の目に似るものを〈魚の目〉といい,〈ペンだこ〉〈座りだこ〉〈靴ずれだこ〉などのように局面状のものをたこと呼ぶが,両者は本質的には同じものである。かかとや手足の指にできることが多いが,スポーツ選手や職業によっては手掌やひじなどにみられることもある。圧痛があれば,かみそりで削ったり,スピール膏などのサリチル酸剤をはって,軟らかくしてから削るが,いずれは再発する。刺激をさけるようにくふうすることもたいせつである。たこは切除しても,反復刺激が加われば,同じ場所に再発し,瘢痕はんこん)が硬くなって,かえって痛みが強くなることがあるので,切除しないほうがよい。足の裏のウイルス性のいぼは,つねに踏みつけられて盛り上がらず,魚の目ないしはたこと同じ外観を呈するので,区別して治療する必要がある。
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百科事典マイペディア 「たこ」の意味・わかりやすい解説

たこ

胼胝腫(べんちしゅ)とも。皮膚に機械的刺激や圧迫が繰り返されたときに生ずる限局性角質増殖。職業や生活習慣により特定の場所にできる。ペンだこ,すわりだこなど。サリチル酸軟膏の塗布,切除,焼灼(しょうしゃく)などにより治療する。
→関連項目角化症発疹

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「たこ」の意味・わかりやすい解説

たこ

胼胝腫(べんちしゅ)の俗称で、限局性の角質肥厚をさす。長期間にわたって圧迫や摩擦などの外的刺激を繰り返し受ける部位に、皮膚の防御反応として生ずる。通常は黄褐色調の硬い角板で、表面は平滑または多少ざらざらしている。ときに圧痛を訴えることがある。ある種の職業で特定の部位にできるもの(畳職人の肘(ひじ)だこなど)をはじめ、いわゆるペンだこ、座りだこ、靴ずれだこなどがその例である。治療は、原因を避けその部位に外力を加えないことが先決であるが、対症療法としてはスピール膏(こう)やピック膏などを貼(は)る。

[水谷ひろみ]

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普及版 字通 「たこ」の読み・字形・画数・意味

鼓】たこ

鼓うつ。

字通「」の項目を見る

【多】たこ

多幸。

字通「多」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「たこ」の意味・わかりやすい解説

たこ

胼胝」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のたこの言及

【角質】より

…人体では手掌や足底の表層の角質はとくに厚い。いわゆる〈たこ〉,魚の目は,そのような部位での角質の過度の増殖にほかならない。また,いぼ状の皮膚病変の多くは角質産生異常によるものである。…

※「たこ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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