精選版 日本国語大辞典 「暗・眩」の意味・読み・例文・類語
く・れる【暗・眩】
〘自ラ下一〙 く・る 〘自ラ下二〙 暗くなるの意。
① (悲しみ、怒りなどの激しい感情のために)目の前がまっくらになる。目がくらむ。
※落窪(10C後)一「いかにしなし奉り給はんとするにかあらむと思ふに、目くるる心地して」
② 涙などで目がくもって見えなくなる。目がかすむ。多く「涙にくれる」の形で用いられる。
③ 異常な条件のもとに置かれたために、理性的な判断を下すことができなくなる。
(イ) 悲しみや、自己の能力をこえた事態のために理性を奪われ、いたずらに思い迷う。悲しみのために理性を失う。心がくらむ。思いまどう。→くれまどう。
※保元(1220頃か)下「况(いはんや)是を限り、只今計りの御名残り、行末くれたる御心、せんかたなくぞ思し召す」
※日葡辞書(1603‐04)「タカラニ メガ cururu(クルル)」
くら・む【暗・眩】
[1] 〘自マ五(四)〙
① 暗くなる。
※日葡辞書(1603‐04)「Curami, u, ôda(クラム)〈訳〉暗くなる」
※江談抄(1111頃)三「吉備目暗て、凡見二此書一字不レ見」
③ 理性を失う。好し悪しの判断力を失う。→心くらむ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[2] 〘他マ下二〙 暗くする。また、わからないようにする。
※元祿版古今著聞集(1254)一六「郎等を召すに、跡をくらめて失せぬ」
[3] 〘他マ四〙 (二)に同じ。
※十訓抄(1252)四「切たるもの某とたしかにきこしめして、其郎等を召に、跡をくらみて失ぬ」
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