撫付(読み)なでつける

精選版 日本国語大辞典 「撫付」の意味・読み・例文・類語

なで‐つ・ける【撫付】

〘他カ下一〙 なでつ・く 〘他カ下二〙
① 撫でて付着させる。撫でるようにしておしつける。
源氏(1001‐14頃)柏木「御ぐしの末の、所せうひろごりたるを、いとくるしとおぼして、額などなでつけておはするに」
堀河百首(1105‐06頃)夏「あさの葉に思ふ事をばなでつけて六月はつる御祓をぞする〈源師時〉」
② 乱れた髪を櫛(くし)などでかきあげて整える。
狂歌・堀河百首題狂歌集(1671)秋「くらべこしふりはけがみもなでつけてむかへし駒は君にあぐべき」
浮世草子・好色一代男(1682)五「(むすめご)達の髪をなで付」
③ 自分になつかせ親しませる。
史記抄(1477)九「不朝とも伐たりなんどもせいでなでつけて置をも羇縻州と云ぞ」
※古活字本荘子抄(1620頃)八「民百姓をなでつけて」

なで‐つけ【撫付】

〘名〙
① 撫でつけること。また、そのもの。
※狂歌・吾吟我集(1649)六「一かたになびきもはてずあだなるはらっこの皮のなでつけにして」
② 男の結髪一種頭髪を結ばないでうしろへなでつけておく髪のかたち。また、その髪型の人。山伏易者、儒学者などに多かった。転じて、かたぶつをいう。
日葡辞書(1603‐04)「カミヲ nadetçuqeni(ナデツケニ) ユウ」

なぜ‐つ・ける【撫付】

〘他カ下一〙 なぜつ・く 〘他カ下二〙 =なでつける(撫付)
冷笑(1909‐10)〈永井荷風〉一三「まだ撫ぜつけない銀杏返の鬢の毛を」

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