投出(読み)なげだす

精選版 日本国語大辞典 「投出」の意味・読み・例文・類語

なげ‐だ・す【投出】

〘他サ五(四)〙
① 投げて外へ出す。ほうり出す。また、投げるようにしてその場に置く。
太平記(14C後)二八「抛続松(なげたいまつ)屏より外へ投出(ナゲタシ)投出、静返て見けるが」
② 座っている人が自分の足を前方にのばす。
日葡辞書(1603‐04)「アシヲ naguedasu(ナゲダス)
③ 命、財産、権利などを惜しげもなく差し出す。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉続「是れだけの財産を皆な投げ出す人せへある世の中に」
④ 事が完成しないうちに途中であきらめてやめてしまう。放棄する。
※二老人(1908)〈国木田独歩〉上「『それぢゃ投ませう。其処切断ては碁に成りませんもの』〈略〉其処(そこ)叔母は投出(ナゲダ)した」
⑤ 持ち出す。提出する。
※虎明本狂言・宗論(室町末‐近世初)「日本にはびこる程のほうもんぢゃ程にやれやれいかひ事をなげだひた」

なげ‐いだ・す【投出】

〘他サ四〙
※宇津保(970‐999頃)蔵開下「このふみなげいだし給へれば、とりておはして」
※浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)中「親父に言ふて此の善次を勘当させて腹いるか、但は自然(じねん)に銀取(とる)か、勝手次第となげ出し」

なげ‐だし【投出】

〘名〙
① 投げ出すこと。投げ出してあること。
※春の城(1952)〈阿川弘之〉二「平仄密の解読は彼の机の上ですっかり投げ出しになっていた」
料理屋などで、客がある金額最初に渡しておいて、それに応じただけのまかないをさせること。

なげ‐い・ず ‥いづ【投出】

〘他ダ下二〙 投げて外へだす。投げだす。
※能因本枕(10C終)九一宮司召してきぬ二ゆひとらせて縁になけいつるを」

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普及版 字通 「投出」の読み・字形・画数・意味

【投出】とうしゆつ

投降する。

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