扱・噯(読み)あつかい

精選版 日本国語大辞典 「扱・噯」の意味・読み・例文・類語

あつかい あつかひ【扱・噯】

〘名〙 (動詞「あつかう(扱)」の連用形の名詞化)
① あれこれと世話をすること。また、病人を看護すること。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「あわただしき人のあつかひなどせられて」
② あれこれとうわさをすること。評判。
両者の間に立って争いをとりなすこと。また、その人。訴訟紛争仲裁調停示談
※政基公旅引付‐文亀三年(1503)七月二六日「日禰野の領家分半済御扱なく候はは、我々が命は助る間敷候」
かしら。長。また、かしらとして人々を取締ること。
※和漢通用集(1596‐1644)「宰 あつかい 物のかしら」
(イ) 人の相手になって話したり、もてなしたりすること。とりなし。応対。「子供の扱い」「客の扱い」
※古活字本毛詩抄(17C前)六「賢者のあつかいがをとろへてあるぞ」
(ロ) (名詞の下に付けて接尾語的に用いる) それらしく待遇すること。
※にごりえ(1895)〈樋口一葉〉二「其やうな奥様あつかひ虫が好かで」
(イ) あれこれと操作して動かすこと。手などで物を運んだり、使ったりすること。「機械の扱い」「荷物の扱い」
四河入海(17C前)七「大舩はあつかいが自由にならぬ程に」
(ロ) (名詞の下に付けて接尾語的に用いる) 事物の取扱い方。また、機能に応じた有効な用い方。
※駒沢大学本臨済録抄(16C後)中「禅僧は言句あつかいが大事ぢゃ」
⑦ あておこなうこと。また支配すること。領知すること。
上井覚兼日記‐天正一二年(1584)一二月一五日「さり川へ着候、是又拙者噯之処にて候間、種々会尺也」
物事の処理。また、担当。「事務の扱い」
⑨ 花札を二人でする時、両者の得点の差が三六点以上になること。
※雑俳・柳多留‐三(1768)「光秀はあつかいぎりで絵がくさり」

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