手習子(読み)テナライコ

デジタル大辞泉 「手習子」の意味・読み・例文・類語

てならいこ〔てならひこ〕【手習子】

歌舞伎舞踊長唄七変化杜若七重かきつばたななえ染衣そめぎぬ」の一。増山金八作詞、初世杵屋きねや正次郎作曲寛政4年(1792)江戸河原崎座初演。寺子屋帰りの、ませた町娘の踊り。

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精選版 日本国語大辞典 「手習子」の意味・読み・例文・類語

てならい‐こ てならひ‥【手習子】

[1] 〘名〙 師匠について手習いする子ども。手習い子ども。
※俳諧・犬子集(1633)一七「白き物こそ黒くなりけれ かほも手も能く能くあらへ手習子〈貞徳〉」
[2] 歌舞伎所作事。長唄。増山金八作詞。初世杵屋正次郎作曲。二世西川扇蔵振付。寛政四年(一七九二)江戸河原崎座初演。四世岩井半四郎の七変化舞踊杜若七重染衣(かきつばたななえのそめぎぬ)」の一つ。手習い草子をさげて寺子屋から帰る途中の、ませた町娘の踊り。

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改訂新版 世界大百科事典 「手習子」の意味・わかりやすい解説

手習子 (てならいこ)

歌舞伎舞踊の曲名。長唄。1792年(寛政4)4月,江戸河原崎座で4世岩井半四郎により初演。七変化所作事《杜若七重の染衣(かきつばたななえのそめぎぬ)》の一曲。作詞増山金八。作曲初世杵屋(きねや)正次郎。振付2世西川扇蔵。春の日,寺子屋帰りの娘が日傘や手習草紙を手に道草をするさまを描く。蝶を追うあどけなさや,ませた恋心などが入りまじる。現在の振りは1848年(嘉永1)5月中村座で3世岩井粂三郎(8世半四郎)が復活したときのものによる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「手習子」の意味・わかりやすい解説

手習子
てならいこ

歌舞伎(かぶき)舞踊。長唄(ながうた)。増山金八作詞、初世杵屋正次郎(きねやしょうじろう)作曲、2世西川扇蔵振付け。1792年(寛政4)4月、江戸・河原崎(かわらさき)座で4世岩井半四郎が踊った『杜若(かきつばた)七重(ななえ)の染衣(そめぎぬ)』という七変化舞踊の一つで、寺子屋帰りの草紙を手にした、江戸期のませた町娘の気持ちを描写した作品。『娘道成寺(むすめどうじょうじ)』の詞章や作曲を多く応用している。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「手習子」の意味・わかりやすい解説

手習子
てならいこ

歌舞伎舞踊曲。長唄。増山金八作詞,1世杵屋正次郎作曲,2世西川扇蔵振付。本名題は『杜若 (かきつばた) 七重の染衣 (そめぎぬ) 』で,初演の4世岩井半四郎の俳名杜若 (とじゃく) にちなむ。寛政4 (1792) 年4月江戸河原崎座で,半四郎が初演。町娘が寺子屋帰りに蝶にたわむれて道草を食うのを題材に,春の日の年頃の娘の姿態を描いたもの。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「手習子」の解説

手習子
(通称)
てならいこ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
杜若七重の染衣
初演
寛政4.4(江戸・河原崎座)

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