かぶき
動詞〈傾(かぶ)く〉の連用形が名詞化したもの。転じて正統的・伝統的ではない,異様な風体,自由奔放な行動,色めいた振舞いなどをさし,安土桃山時代から江戸時代初期にかけて時代の美意識を示す言葉としてもてはやされた。《日葡辞書》では〈傾く〉を〈カブイタヒト〉とし,派手な身なりの無頼・遊侠の徒は〈かぶき者〉とよばれた。→歌舞伎/町奴/ばさら
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かぶき
かたむく,かたぶくことを表す動詞傾(かぶ)くの連用形からできた名詞。正常ではないようす,勝手気ままな言動,とびきりはでで異様な感じをひとに与える身なり・服飾,また色好みの気風を漂わせるもの等々を意味することばとして,安土桃山時代から江戸時代初期にかけて流行した。あたかも〈ばさら〉の語が南北朝動乱期を中心としつつ,独自の美意識をしめす語として巷間に流布したように,この語もやはり戦国の争乱がしだいに天下一統の世へとおもむいた激動の時代の風潮を端的にいい表す独特の流行語としてもてはやされたといえるであろう。
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