戸中村
とちゆうむら
[現在地名]相川町戸中
戸地川を境に南は戸地村、北は南片辺村。海際に迫った急な海岸崖の上と下に集落がしのぎ合う。現在南片辺との間には、鹿野浦トンネルが通じる。口碑によると天正年間（一五七三―九二）に畑野（現畑野町）の賀茂神社付近にいた古土源右衛門が移り住んで漁業を営み、鶴子銀山（現佐和田町）からは渡辺孫十郎がきて鉱山を稼いだのが村の始まりと伝える。源右衛門は北方（現新穂村）立蓮寺の有力檀徒で、天正一七年の上杉景勝の佐渡攻めで、同寺門徒が四散したおり、源右衛門も当村に移り住んだとみられる。北端平根崎の内懐の海辺に同家が残るが、漁業より鉱山に関係が深く、「佐渡国寺社境内案内帳」にみえる当村山之神社の社人源四郎は古土源右衛門家の出身。
戸中村
とちゆうむら
[現在地名]舘岩村戸中
伊与戸村の西、舘岩川左岸に位置する。「会津風土記」に「戸中」とある。安永七年（一七七八）の高五九石余（会津鑑）。文化一五年（一八一八）の南山御蔵入領組村高帳では高六二石余。化政期の家数一六。当村の東を北流して舘岩川に流入する升沢川（鱒沢川）は広さ七間ばかりでいわな・鰥がとれ、また黐を製して若松や越後国に売出していた（新編会津風土記）。当地一帯では焼畑を行っており、貞享二年（一六八五）の「長江庄郷村地方風俗帳」によると粟・稗・菜・蕎麦を一年ないし二年作ってやめるため、「御年貢役ヲ不当」とあり、昭和二〇年代まで続けられていた。
戸中村
とちゆうむら
[現在地名]棚倉町戸中
大梅村の北西、八溝山地北端の山間地に立地し、久慈川とその支流白子川が流れる。戦国期に佐竹氏が開発したと伝える金山の廃坑が三〇余ヵ所残る。棚倉城下から国境の戸中峠越で下野国伊王野（現栃木県那須町）に通じる街道がある。江戸時代の領主の変遷は上手沢村と同じ。元禄郷帳には強梨村枝郷として村名がみえ高五六石余。天保郷帳でも強梨村枝郷とあり高六四石余。戸中峠越の道は、伊王野村を経て奥州街道の芦野宿（現那須町）への近道で、寛政四年（一七九二）幕府領浅川陣屋（現浅川町）が江戸廻米路とし、以降棚倉方面からの物資が多く輸送された（「申渡書」三森美鉦文書など）。
戸中村
とちゆうむら
[現在地名]足助町戸中
巴川がほぼ中央を北流し、東は葛沢村、南から西にかけて四ッ松村・沢ノ堂村、北は川端村に接する。集落は巴川両岸の山麓の傾斜地に点在。縄文時代（時期不詳）の西道下遺跡が巴川左岸山麓の傾斜地にある。
慶長六年（一六〇一）の検地によると、村高三七石余、名請人九人。三反歩まで二人、五反歩まで四人、七反歩まで二人、九反歩まで一人。検地帳表紙に「とちゆう村」とだけあって、検地役人らの名前は記されていない。
戸中村
とちゆうむら
[現在地名]本川村戸中
戸中山（一二六一メートル）の北西麓にあって、標高約八〇〇メートルの高位に位置する。宝永三年（一七〇六）の「本川郷風土記」（南路志）によれば東西二五町南北五八町で、「惣体土地黒、北向北下之所也」とみえる。「途中」とも記される（土佐州郡志）。
慶長一六年（一六一一）の本川ノ内大藪名検地帳によれば三筆のみ登録され、すべて山畠で「トチウ」とみえる。「ヒノウラ」の地には一名が居住し、楮と茶を栽培。大藪名の最南端部である。元禄地払帳では本田一石余で蔵入地となっており、新田はない。
戸中村
とちゆうむら
[現在地名]西会津町新郷三河
橋屋村の北、阿賀川右岸に位置する。耶麻郡大谷組に属し、対岸西方は河沼郡上野尻村の端村新田。文禄三年（一五九四）の蒲生領高目録に「とちう」とみえ、高三三九石余。「会津風土記」に村名が載る。「新編会津風土記」によると家数九、社倉一が置かれていた。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
