戯歌(読み)ざれうた

精選版 日本国語大辞典 「戯歌」の意味・読み・例文・類語

ざれ‐うた【戯歌】

〘名〙
滑稽味のある和歌。たわむれに作った和歌。ざれごとうた。俳諧歌
※承暦二年内裏歌合(1078)「左弱げなり。右もざれうたなり」
狂歌をいう。ざれごとうた。〔狂歌詠方初心式(1775)〕
③ 滑稽な内容の歌。また、滑稽でひわいなうた。
別離(1910)〈若山牧水〉下「とき折りに淫唄(ザレウタ)うたふ八月の燃ゆる浜ゆき燃ゆる海見て」
[語誌](1)「ざれ歌」「ざれごと歌」は、平安末期から鎌倉時代にかけての歌合の判詞や歌学書に見られ、①の挙例のように滑稽味や通俗味のある和歌に対する非難の語として用いられている。
(2)狂歌の最盛期の江戸時代には、職業的な狂歌師たちが狂歌の地位を高めようとして、夷曲(ひなぶり)夷歌、俳諧歌、興歌等の名称を唱えたが、一般化せず、ざれ歌の名はむしろ自作の狂歌を謙遜した言い方として、また、雅びめかす語として用いられた。

たわれ‐うた たはれ‥【戯歌】

〘名〙 たわむれに作る歌。また、滑稽な歌。あるいは、卑猥(ひわい)なことなどをふざけてうたった歌。また、特に、狂歌をさしていう。ざれうた。たわぶれうた。
浮世草子傾城歌三味線(1732)一「昔日(そのかみ)酒宴の戯歌(タハレウタ)に、たらふくつるてんたらふくつるてん、夕は格子に松の尾の新兵衛殿とうたひし

たわぶれ‐うた たはぶれ‥【戯歌】

〘名〙 たわむれにうたう歌。ふざけてうたう歌。たわむれうた。
※応徳三年通宗女子達歌合(1086)「右の歌のあしげ・かげなど思ひよりたるほど、たはぶれ歌なり」

たわむれ‐うた たはむれ‥【戯歌】

おどけ‐うた【戯歌】

〘名〙 面白おかしい歌。滑稽な歌。ざれうた。俳諧歌。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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