精選版 日本国語大辞典 「慎・謹」の意味・読み・例文・類語
つつし・む【慎・謹】
[1] 〘他マ五(四)〙 (促音化して「つっしむ」とも)
※風姿花伝(1400‐02頃)一「能を極めたるとは思ふべからず。ここにて猶つつしむべし」
② 神や尊いものに対して、うやまいの心をもって尊ぶ。うやうやしくかしこまった態度をとる。尊んでつき従う。→つつしんで。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六「当に虔(ツツシミ)敬ひ渇仰する之心を超したてまつらむとおもふべし」
※狭衣物語(1069‐77頃か)四「君達さへ、余りつつしみ給て、今は目も見せ給はねば、いみじうつれづれにこそなりにたれ」
③ 物忌みをする。斎戒する。
※蜻蛉(974頃)中「つつしむことのみあればこそあれ。さらにこずとなん、我は思はぬ」
※源氏(1001‐14頃)蜻蛉「京に子生むべきむすめのことにより、つつしみ騒げば、例の家にもえ行かず」
[2] 〘他マ下二〙 (一)に同じ。
※大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃)「程(ツツシメ)て綸言を奉(う)けたてまつり、載ち翻訳せしめ」
[補注]中世以降、促音化して「つっしうて」「つっしんだ」などと、「つっしむ」の形でも用いられた。
つつしみ【慎・謹】
① あやまちをおかさないように気をつけること。心をひきしめてひかえめな態度をとること。謹慎。自重。
※観智院本三宝絵(984)中「香水をのみ身をきよめて、つつしみの心をいたして方等経をよましむ」
② 特に平安時代の生活習慣としての物忌み、斎戒。
つつしま・る【慎・謹】
※続日本紀‐神護景雲三年(769)一〇月一日・宣命「ここ知りて謹麻利(つつしマリ)浄き心を以て侍へ奉れと〈略〉諸東国の人等、謹之麻利(つつシマリ)奉侍れ」
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