慊(漢字)

普及版 字通 「慊(漢字)」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音] ケン・キヨウ(ケフ)
[字訓] あきたる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(兼)(けん)。〔説文〕十下に「疑ふなり」とあり、心に疑って惑う状態をいうとする。〔孟子、公孫丑上〕「行ひ心に慊(あきた)らざることれば、則ち餒(う)う」とあり、その用法からいえば、あき足る、満足する意である。また「丹慊」のような語義からいえば、誠心をいう。嫌疑は慊疑、慊がその正字であるが、のち(嫌)を用いる。また歉・と通用する。歉は〔説文〕八下に「歉滿たざるなり」、また二上は「口に銜(ふく)むるなり」とあり、鼠などが頰に食を貯える意。また食い尽くすことをもいう。これらのことから、また「あきたらず」の意となる。厭足の意と相反するが、それは歉・の通用義とみるべきである。

[訓義]
1. あきたる、よしとする、こころよしとする。
2. よい、まごころ。
3. 歉・と通じ、あきたらぬ、たらぬ、満足しない。
4. 嫌と通じ、うらむ、うたがう。
5. ・謙と通じ、まずしい、つつましい。

[古辞書の訓]
名義抄〕慊 ウタガフ・キラフ・ソネム・ネガフ 〔字鏡集〕慊 ネガフ・ウラム・ソネム・カナフ・アキタリ・ウキタル・ウタガフ

[語系]
慊・hyamは同声。慊は満足する、は満足しないという相反義をもつ。・歉khyam、(謙)khyapは声近く、それぞれ通用することがある。

[熟語]
慊意慊鬱慊焉慊款慊懼慊苦慊慊慊如慊心慊誠・慊然慊足慊吝
[下接語]
丹慊・内慊

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報