後拾遺往生伝(読み)ごしゅういおうじょうでん

改訂新版 世界大百科事典 「後拾遺往生伝」の意味・わかりやすい解説

後拾遺往生伝 (ごしゅういおうじょうでん)

三善為康撰。《拾遺往生伝》の完成後ひきつづいてその遺漏を集めたもので,為康の死亡する1139年(保延5)までの間,増補され書きつがれた。75人(重複を除くと73人)の往生者を収録している。《拾遺往生伝》と比較して先行文献からの収録は減少し,著者自身の伝聞によるものが増加,同時代人が54人を占めている。往生者の特色もさほど変化はないが,俗人の記載が33人と増加し,とくに地方在住者が多いこと,良忍をはじめ大原別所の念仏者四天王寺の念仏集団がとりあげられていること等,院政期浄土教の新しい傾向を示している。
往生伝
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「後拾遺往生伝」の解説

後拾遺往生伝
ごしゅういおうじょうでん

平安時代,三善為康(みよしのためやす)が「拾遺往生伝」についで著した往生者の伝記。3巻。上巻から順次作られた。往生者の没年の最下限である1137年(保延3)9月以後,著者の没した39年8月以前に完成したものと思われる。採話順に配列し,著者の在世中の往生者の話が多い。慶政(けいせい)の書写奥書のある真福寺蔵本は重文。「日本思想大系」所収

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