引墨(読み)ヒキズミ

デジタル大辞泉 「引墨」の意味・読み・例文・類語

ひき‐ずみ【引(き)墨】

書状封じ目に墨を引くこと。「〆」を書くこと。また、その墨。
まゆをそったあとに墨を引くこと。また、その墨。

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精選版 日本国語大辞典 「引墨」の意味・読み・例文・類語

ひき‐ずみ【引墨】

〘名〙
① 書状の封じめに墨を引くこと。〆を書くこと。また、その墨。
※三条中山口伝(13C中‐後)四乙「引墨 芸事也。但非秘蔵之書者不書封して引墨也」
文書内容を打消すために墨で線を引くこと。
※鹿苑日録‐天文五年(1536)一一月二日「自粧都寺伝来。御借之時之御文引墨返之」
③ 眉をそり落としたあとに墨を引くこと。また、その墨。
浄瑠璃薩摩歌(1711頃)夢分舟「眉のひきずみべに落ちて」
随筆・世事百談(1843)四「和歌に点かくるに可否を対ふるに〈略〉古書を考ふるに、懸鈎といひ引墨(ヒキズミ)ともいへり」

いん‐ぼく【引墨】

〘名〙
① 墨で線を引くこと。〔晉書‐劉毅伝〕
② 添削すること。多く俳諧用語として用いられる。

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