普及版 字通 「己(漢字)」の読み・字形・画数・意味
己
常用漢字 3画
[字訓] おのれ・つちのと
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
己形の矩(く)(定規)の形に似た器。角度を定める定規や糸の巻取りに用いるもので、紀の初文。〔詩、小雅、節南山〕「式(もつ)て夷(たひ)らぎ式て己(をさ)む」のように用いる。自己の意に用いるのは仮借で、本義ではない。十干では戊己は五行の土、己はつちのとにあたる。〔説文〕十四下に「中宮なり。物の辟(へきざう)して(くつ)する形に象るなり。己は戊を承く。人の腹に象る」とするが、形義ともに無稽の説である。
[訓義]
1. おさめる。
2. おのれ、みずから、わたくし、ひとり。
3. 語詞、助辞に用いる。
4. 十干の一。つちのと。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕己 オノレ・ツチノト 〔字鏡集〕己 ツチノト・オノレ・ヒトリ・ヤガテ
[部首]
〔説文〕に・の二字を属し、〔玉〕も同じ。〔説文〕は屈身の義を以て二字を会意とするが、金文にの初文に己を用いており、両字とも形声の字である。
[声系]
〔説文〕に己声として記・改・忌・紀・配など十二字を収める。改はに作るべく、巳(蛇の形)を殴(う)つ(かいかい)の呪儀。配を〔段注〕に妃の省声とするが、酒器の前に人の坐する形。紀は己の繁文。
[熟語]
己見▶・己私▶・己身▶・己生▶・己知▶・己任▶
[下接語]
一己・貴己・虚己・矜己・恭己・潔己・克己・自己・修己・知己・利己
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報