屯(漢字)

普及版 字通 「屯(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] トン・チュン
[字訓] あつまる・たむろする・なやむ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
織物の縁飾(へりかざ)りの形で、純の初文。屯は縁の糸を房飾りのように結んだ形。〔説文〕一下に「(なや)むなり。艸木の初めて生じ、屯然(ちゆんぜん)としてむに象る。(てつ)(艸の初生)の一を貫くに從ふ。一は地なり。尾曲(まが)る」とし、〔易、屯(ちゆん)〕の文を引く。〔易〕によって文を解くものであるが、金文字形は織物の縁飾りとして、糸を集めて結んだ形。金文に字を「玄衣黹屯(ふつじゆん)」「康右(祐)屯(純)魯」「屯右(純祐)眉壽」のように用い、「黹屯」は「黻純」、縫いとりの縁飾りのあることをいう。織物では織糸を集め束ねて作るので、屯束(とんそく)・屯集(とんしゆう)の意がある。屯難(ちゆんなん)の義は引伸、字形は草の初生とは関係がない。

[訓義]
1. あつまる、たばねる、つかねる。
2. へりかざり、糸を集め束ねて、へりかざりとする。
3. みちる、かたまる、まもる、たむろする。
4. むすぼれる、なやむ、かたい、おおい

[古辞書の訓]
立〕屯 モハラ・ナツク・ムラガル 〔字鏡〕屯 ムラガル・モトル・トハス・アツム・アツマル・クシク・カカル・カコム・モハラ・タムラ 〔字鏡集〕屯 ウチハヤシ・モヂル・クシク・アツシ・カタシ・アラタム・タヲム・ハジム・タムロ・カガマル・モトル・アツマル・ムラガル・ツラナル・マロガス

[声系]
〔説文〕に屯声として春・頓・邨・純・鈍など十三字を収める。みな、まるく集まるなどの意をもつ字である。

[語系]
屯・純・邨・dunは同声。屯は純の初文。(冬)も糸端を結んでとめる形で、(終)の初文。屯と純、とは同じ関係である。邨(そん)は邨集で村の意。(とん)は屯倉でまるい穀倉。織物を屯・純を以て数え、〔史記、秦伝〕に「錦千純」の語がある。村tsunは邨と声義近く、人の聚居する所をいう。

[熟語]
屯夷屯坎・屯苦屯蹇・屯険屯謇屯困・屯如屯躓屯窒・屯屯亶・屯鈍・屯難・屯否・屯平・屯屯厄・屯雲・屯営・屯衛屯塢屯騎・屯居屯拠・屯軍・屯結・屯・屯行・屯耕・屯候屯墾・屯砦・屯守・屯種屯戍屯聚・屯集・屯住・屯宿・屯所・屯・屯夕・屯駐・屯丁・屯邸屯田・屯農・屯部・屯兵屯堡・屯封・屯落・屯塁
[下接語]
運屯・雲屯・艱屯・居屯・軍屯・険屯・荒屯・耕屯・屯・困屯・駐屯・鈍屯・入屯・分屯・兵屯・辺屯・屯・列屯

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報