出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
北海道西部,石狩湾に面する市。1922年市制。人口13万1928(2010)。重要な港湾をもち,JR函館本線が通じ,札樽自動車道のインターチェンジがある。1880年小樽湾西部の手宮と札幌との間に北海道最初の鉄道,幌内鉄道(のちの手宮線。1962年旅客営業廃止,85年路線廃止)が通じて札幌の外港として位置づけられ,83年幌内までの鉄道延長により,石炭,木材,農産物の移出港となり,同時に港湾を背景とする商業活動の中心地となった。長大な防波堤や埠頭,運河の建設が進められて,港湾機能は漸次その中心を東に移しながら整備され,第2次世界大戦前は本州,樺太,大陸との間の船舶の往来がはげしく,商業活動は活発で,函館とともに道内商圏を南北に二分していた。戦後は経済的背景が変わり相対的な地位低下は免れなかった。市街は海岸から段丘上に広がり,小樽駅付近に金融商業中心地や繁華街があり,中小工業は市街地東部の勝納川沿いに多く,手宮には鉄工,製缶などの工場や水産加工業が立地し,国道5号線沿いに新しい工場立地が進んでいる。1910年小樽高等商業学校として開校した小樽商科大学のほか北海道薬科大学がある。西部の海岸地帯はニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定され,手宮洞窟などの史跡,祝津のニシン漁場建築,および色内地区の旧日本郵船支店(重要文化財),日本銀行支店など開拓の歴史を語る建築物が多く,運河沿いの石造倉庫群の景観保全を求める声が強い。
執筆者:岡本 次郎
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