普及版 字通 「媚(漢字)」の読み・字形・画数・意味
媚
12画
[字訓] こびる・よろこぶ・いつくしむ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 形声
声符は眉(び)。眉は眉飾。眉飾を加えた巫女を媚という。卜文・金文に眉下に女を加えてその眉飾を強調する字があり、それが媚の初文である。〔説文〕十二下に「(よろこ)ぶなり」と訓するが、もと神を悦ばせるものであった。のち〔詩、大雅、仮楽〕「天子に媚(よろこ)ばる」、〔詩、大雅、巻阿〕「庶人に媚ばる」のように用いる。媚飾を加えた巫女は、いわゆる「媚蠱(びこ)」の呪儀をなすもので、「媚蠱」の語は古く卜辞にみえ、のち漢代に巫蠱媚道のことが多く、そのことが原因で、しばしば大乱を招いた。〔周礼、天官、内宰、〕に「妖巫蠱、以て自ら衒媚す」とあって、人形(ひとがた)などを用い、人を呪詛する法をいう。
[訓義]
1. こびる、神にこびる。
2. たぶらかす、神に祈って人をたぶらかす、まどわす。
3. よろこぶ、よろこばす、したしむ、いつくしむ。
4. みめよい、うつくしい、あだめく、なまめく。
5. 魅と通じ、ばけもの、あやしいもの。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕媚 コビ・コブ・ウツクシビ・ウツクシブ・ウツクシウス・コブル・アザムク 〔立〕媚 ナマメク・ヲフ・ウツクシフス・コビタリ・トフ・モトホル・ミヤヒカ・ウツクシミ
[語系]
媚・miuet、眉・美mieiは声義が近い。媚は美にしてなる性格のものである。その眉飾によって、目はmat、眛mutの妖しい状態となる。みな一系の語とみてよい。
[熟語]
媚逸▶・媚悦▶・媚眼▶・媚嬌▶・媚景▶・媚瞼▶・媚語▶・媚好▶・媚行▶・媚骨▶・媚子▶・媚事▶・媚辞▶・媚趣▶・媚秀▶・媚承▶・媚笑▶・媚世▶・媚竈▶・媚俗▶・媚態▶・媚道▶・媚附▶・媚夫▶・媚▶・媚薬▶・媚頼▶・媚麗▶・媚惑▶
[下接語]
阿媚・愛媚・婉媚・雅媚・閑媚・含媚・綺媚・曲媚・景媚・妍媚・媚・衒媚・媚・蠱媚・巧媚・幸媚・媚・思媚・姿媚・自媚・色媚・邪媚・秀媚・柔媚・淑媚・潤媚・霽媚・鮮媚・仄媚・側媚・妬媚・軟媚・佞媚・筆媚・百媚・附媚・媚・風媚・服媚・嬖媚・豊媚・明媚・媚・容媚
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報