普及版 字通 「奔(漢字)」の読み・字形・画数・意味
奔
常用漢字 8画
(旧字)
9画
[字訓] はしる・はやい・にげる
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
夭(よう)+(しゆう)。夭は人の走る形で、は三止(趾(あし))。足早に奔る意を示すために、三止を加えた。〔説文〕十下に「走るなり」と訓し、「(ほん)の省聲なり。走と同。に夭に從ふ」とするが、の従うところは飾(ひしょく)の形で、の従うところとその意象が異なる。金文に、祭事に従うことを「夙夜(しゆくや)走せよ」というのが例であり、奔走とはその際の足早な歩きかたをいう。女子には敏捷といい、(敏)・捷はいずれも髪飾りをした夫人が、祭事にいそしむ姿である。わが国では、祭事のときの歩きかたを「わしる」という。
[訓義]
1. はしる、わしる。祭事にいそしむことを、走という。
2. はやい、おもむく、おう。
3. にげる、さる、まける、やぶれる。
4. (ふん)とじ、たおれる。
5. 字はまた犇(ほん)に作る。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 オモムク・トシ・サル・ハシル 〔字鏡集〕 サル・ニグ・オモムク・ワシル・ハシル・トシ
[語系]
punはbiunと声近く、〔説文〕には(ほん)の声をとるとするが、字形において関係はない。の従うところは(ひ)で、もと飾の形である。〔詩、風、鶉之奔奔(じゅんしほんほん)〕の「鶉のたる」を〔礼記、表記〕に引いて「」に作り、〔注〕に「爭、惡しき貌なり」とする。声近くして通用したものであろう。
[熟語]
奔逸▶・奔佚▶・奔軼▶・奔潰▶・奔起▶・奔驥▶・奔救▶・奔牛▶・奔競▶・奔軍▶・奔鯨▶・奔撃▶・奔激▶・奔月▶・奔渾▶・奔散▶・奔▶・奔師▶・奔駛▶・奔車▶・奔襲▶・奔出▶・奔駿▶・奔趨▶・奔逝▶・奔精▶・奔走▶・奔湊▶・奔▶・奔属▶・奔湍▶・奔馳▶・奔逐▶・奔注▶・奔▶・奔潮▶・奔霆▶・奔電▶・奔徒▶・奔逃▶・奔濤▶・奔騰▶・奔突▶・奔遯▶・奔馬▶・奔波▶・奔破▶・奔播▶・奔瀑▶・奔迫▶・奔辟▶・奔▶・奔赴▶・奔沸▶・奔亡▶・奔放▶・奔北▶・奔命▶・奔湧▶・奔雷▶・奔流▶・奔輪▶・奔浪▶・奔滝▶
[下接語]
奔・狂奔・競奔・驚奔・出奔・駿奔・宵奔・勢奔・追奔・電奔・東奔・逃奔・忙奔・来奔・雷奔
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報