太神楽(読み)ダイカグラ

デジタル大辞泉 「太神楽」の意味・読み・例文・類語

だい‐かぐら【太神楽/代神楽】

伊勢神宮へ一般の参詣人が奉納する神楽御師おし邸内で行われた。太太だいだい神楽。
1から転じた江戸時代大道芸もと伊勢神宮や熱田神宮の下級神官が全国各地を回って神事としての獅子舞ししまいを行うものであったが、しだいに曲芸茶番などを行うようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「太神楽」の意味・わかりやすい解説

太神楽
だいかぐら

獅子(しし)神楽の一種。獅子の霊力によって悪魔祓(ばら)い、火伏せ、息災延命祈祷(きとう)する二人立ち(一頭に2人入る)の獅子舞で、大神楽、代神楽とも書く。代神楽の名は伊勢(いせ)参りの代参の意に出るという。もと伊勢や尾張(おわり)から出たといわれ、獅子を回しながら、伊勢のお祓いと称して諸国巡回した。現在も三重県桑名(くわな)市太夫(たゆう)町に伊勢太神楽の組が6組伝わる。12月23、24日、太夫町の増田神社の祭礼に各組が集合し、全曲を交代で奉納するほかは各組とも巡業に出る。その活動範囲は近畿、中部北陸、中国地方の一定の村々で、各戸の竈(かまど)祓いを行う。伊勢太神楽の流れをくむ獅子舞は全国的に分布して祭礼などに奉納される。一方、江戸の太神楽は熱田(あつた)派(尾張派)と伊勢派の二系統があり、早くから江戸に出て寄席(よせ)芸として定着、現在も江戸の太神楽として曲芸(テゴト)や滑稽掛合(こっけいかけあ)い(シコナ)を演じている。

[渡辺伸夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太神楽」の意味・わかりやすい解説

太神楽
だいかぐら

獅子を舞わせて悪魔払い,火伏せなどを祈祷する神楽の一種。「大神楽」「代神楽」とも書く。2人立ちの獅子であるが,1人立ちで舞うことも多く,祈祷のほかに,種々の曲芸や狂言風の掛合芸を次第に演じるようになり人気を呼んだ。伊勢と尾張には神楽組があり,初春になると諸国に巡回に出た。その影響を受けて,各地でもこの神楽を演じるようになったが,その一部は大道芸となり,余技であった曲芸のほうに力を注ぎ,江戸の太神楽のように寄席芸となった。

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百科事典マイペディア 「太神楽」の意味・わかりやすい解説

太神楽【だいかぐら】

大神楽,代神楽とも書く。獅子(しし)舞を中心に品玉(しなだま),曲鞠(きょくまり),皿(さら)回しなどを演ずる曲芸。伊勢神宮の太神楽から発したともいわれ,もと荘厳な神楽舞の遺風があったが,江戸時代に大道芸として盛行,のち屋内芸となった。

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日本文化いろは事典 「太神楽」の解説

太神楽

江戸時代末期から寄席芸能として広く大衆の人気を集めた、日本の総合演芸の事を指します。内容として、主に獅子舞をはじめとした「舞」と、傘回しをはじめとした「曲」があります。「おめでとうございま〜す」で有名な海老一染之助・染太郎の曲芸がまさに太神楽です。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「太神楽」の解説

太神楽
(通称)
だいかぐら

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
松色操高砂
初演
文化14.3(江戸・河原崎座)

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