天竜峡(読み)テンリュウキョウ

デジタル大辞泉 「天竜峡」の意味・読み・例文・類語

てんりゅう‐きょう〔‐ケフ〕【天竜峡】

長野県南部、天竜川中流の峡谷断崖絶壁青松景勝地。舟下りが行われる。

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日本歴史地名大系 「天竜峡」の解説

天竜峡
てんりゆうきよう

[現在地名]飯田市川路・竜江

現飯田市の南、天竜川沿いの景勝地。天竜川が伊那盆地南部で隆起した花崗岩塊を浸食して形成した天竜川渓谷の入口にあたる。

弘化四年(一八四七)に漢学者阪谷朗廬によって天竜峡と命名され、「遊竜峡記」によって激流断崖の美が喧伝された。明治一五年(一八八二)詩人書家日下部鳴鶴によって、姑射橋こやきよう竜角峰りゆうかくほうなど一〇勝が選定され、その文字が岩壁に刻み込まれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天竜峡」の意味・わかりやすい解説

天竜峡
てんりゅうきょう

長野県南部にある天竜川中流の峡谷。国指定名勝。天竜川が伊那盆地(いなぼんち)南部で伊那山地を侵食してつくった峡谷で、高さ60~80メートルの花崗(かこう)岩の断崖(だんがい)絶壁、龍角峰・烏帽(うぼう)石などと名づけられた奇岩、激流、絶壁にかかる青松の景観がある。天竜奥三河国定公園の一部。1847年(弘化4)に当地を来訪した岡山の漢学者阪谷朗盧(さかたにろうろ)が天竜峡と名づけた。弁天港から時又(ときまた)港まで約35分の天竜舟下りと、下流の天竜峡温泉港から唐笠(からかさ)港まで約50分の天竜ライン下りの二つの遊覧ルートがある。近隣の昼神温泉と一帯化した誘客宣伝により、人気の回復がみられる。峡谷に架かる姑射橋(こやきょう)は何回か付け替えられたが、橋上から見下ろす激流も名所の一つになっている。JR飯田(いいだ)線天竜峡駅下車。

[小林寛義]

『市川健夫著『天竜川』(1973・信濃路)』


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改訂新版 世界大百科事典 「天竜峡」の意味・わかりやすい解説

天竜峡 (てんりゅうきょう)

長野県飯田市中部,天竜川中流の峡谷。飯田市時又(ときまた)付近から下流をいい,中心はJR飯田線天竜峡駅近くの姑射(こや)橋あたりで,花コウ岩の岩壁にアカマツヤマツツジモミジなどの彩りが美しい。江戸時代から名勝として舟下りが楽しまれたが,1988年まで高森町市田から天竜峡まで約20kmのコースがあり(2008年現在は飯田市弁天港から),別にここから下流の唐笠まで遊覧用の和船が運行している。
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百科事典マイペディア 「天竜峡」の意味・わかりやすい解説

天竜峡【てんりゅうきょう】

天竜川中流の峡谷(名勝)。1847年阪谷朗廬によって天竜峡と命名されたといわれ,1882年には姑射橋(こやきょう)・竜角峰などの十勝が選定され,岩壁にその文字が刻まれた。長野県飯田市時又付近から下流で,両側に山が迫って花コウ岩の深い谷をなし,特に飯田線天竜峡駅付近の姑射橋は花コウ岩の直方状節理が顕著で風光にすぐれる。飯田市弁天〜天竜峡〜唐笠(からかさ)に天竜下りの遊覧船がある。
→関連項目飯田[市]天竜奥三河国定公園

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天竜峡」の意味・わかりやすい解説

天竜峡
てんりゅうきょう

長野県南部,天竜川が伊那山地を横断する地点に形成された峡谷。比高 100mにも達する花崗岩の絶壁と清流に森林美が加わる。特に JR飯田線天竜峡駅から近い姑射 (こや) 橋付近が観光の中心。天竜舟下りは高森町の市田駅近くから姑射橋付近までであるが,下流に佐久間ダムができたため,急流下りのスリルは失われた。天竜奥三河国定公園に属する。

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事典・日本の観光資源 「天竜峡」の解説

天竜峡

(長野県飯田市)
信州の渓谷・滝百選」指定の観光名所。

天竜峡

(長野県飯田市)
日本二十五勝」指定の観光名所。

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